地方内科医の日日是好日

地方中規模病院内科医の日々の診療記録

20230914:Beers criteria 2023

当院の有名な言葉として「いつも心に薬と結核という言葉があります。病気を見たらまずは薬と結核が悪さをしてないかを考えます。

 

上司はいつも「高齢者の体調不良を見たら薬のせいと思え」と言います。do no harmがないようにまずは考えます。

 

高齢者の入院の10人に1人は薬のせいと言われています。(Eur J Clin Pharmacol. 2017 Jun;73(6):759-770.)

 

ということで今回はBeers criteria(高齢者に不適切な薬物を減らすために公表されている)が更新されてみたので、まとめてみましょう。

 

https://doi.org/10.1111/jgs.18372

 

Beers criteriaを使用するための原則をまずみてみましょう。

Beers criteria使用の原則
Beers Criteriaに含まれる薬剤は潜在的に不適切なものであり、絶対に不適切なものではない。
各基準の根拠と推奨文を読むことが重要であり、注意事項や指針も含む理解が必要。
Beers Criteriaに薬が含まれる理由を理解し、それに応じて薬へのアプローチを調整する。
Beers Criteriaの最適な適用には、PIM(Potentially Inappropriate Medication)を特定し、適切な場合には、より安全な非薬物療法薬物療法を提供することが含まれる。
Beers Criteriaは、薬剤の適切性と安全性を特定し改善する包括的なプロセスの出発点となるべきである。
Beers Criteriaに含まれる薬剤へのアクセスは、事前承認や医療保険制度の適用方針によって過度に制限されるべきではない。
Beers Criteriaは、すべての国に等しく適用されるわけではない(薬剤の入手可能性が国によって異なるため)。

 

Beers criteriaはとても大切です。意識するとPIMを減らせると思います。ただし、絶対的に処方が不適切ではなく、社会的なことも含め、Beers criteriaを参考に、総合的にベストな判断が重要ですね。

 

それでは本文を見ていきましょう。

 

 

抗凝固療法に関する推奨事項

抗凝固療法に関する推奨事項

ワルファリン:VTEまたはNVAFの治療のための初回治療としてワルファリン を開始することは、他の選択肢(例えばDOAC)が禁忌であるか、その使用に実質的な障害がない限り避けるべき。ワルファリンを長期間使用している高齢者については、特にINRが良好にコントロールされ(すなわち、治療域にある時間が70%以上)、副作用がない場合には、この薬物療法を継続することが妥当であろう。

 

リバーロキサバン:非弁膜症性心房細動またはVTEの長期治療にはリバーロキサバンを使用せず、より安全な抗凝固薬を使用する。

 

ダビガトラン:非弁膜症性心房細動またはVTEの長期治療において、他のDOAC(例:アピキサバン)よりもダビガトランを選択する場合は注意が必要。

 

 

高齢者に潜在的に不適切となりうる薬剤

Organ system Therapeutic category Drugs

Rationale

Recommendation

Quality of evidence/

Strength of recommendation

ヒスタミン

第一世代抗ヒスタミン

・ブロムフェニラミン

・クロルフェニラミン

・シプロヘプタジン

・ジメンヒドリナート

ジフェンヒドラミン

・ドキシラミン

・ヒドロキシジン

・メクリジン

・プロメタジン

・トリプロリジン

・抗コリン作用が強い。

・高齢になるとクリアランスが低下し、催眠薬として使用すると耐性が生じるため、錯乱・口渇・便秘、その他の抗コリン作用または毒性のリスクとなる。抗コリン薬への累積曝露は、若年成人であっても転倒、せん妄、および認知症のリスク増加と関連する。

ジフェンヒドラミンの使用は、重篤なアレルギー反応の急性期治療などには適している。

・避けるべき。

Moderate/Strong

感染症

ニトロフラントイン

肺毒性、肝毒性、末梢神経障害の可能性があり、特に長期使用では注意が必要である。

CrCl30mL/分未満の場合は避ける。

Low/Strong

心血管、抗血栓

心血管疾患の一次予防のアスピリン

アスピリンによる大出血のリスクは高齢になると著しく増加する。

・高齢者の一次予防のために開始した場合、有益性はなく、有害性がある可能性が示唆されている。

・長期使用者のアスピリン中止に関するエビデンスは少ないが、開始に関する同様の原則が適用されると考えられる。

アスピリンは通常、心血管疾患の二次予防に使用される。

・心血管疾患の一次予防のためにアスピリンを開始することは避ける。

・すでに一次予防のためにアスピリンを服用している高齢者には、中止を検討する。

High/Strong

非弁膜症性心房細(NVAF)動または静脈血栓塞栓症VTE)治療のためのワルファリン

DOACと比較すると、ワルファリンは大出血(特に頭蓋内出血)のリスクが高く、NVAFVTEの治療効果は同等か低く、抗凝固療法にはDOACが望ましい選択である。

NVAFまたはVTEの治療のための初回治療としてワルファリンを開始することは、DOACが禁忌であるか、その使用に実質的な障害がない限り避ける。

・ワルルファリンを長期間使用している高齢者では、特にINRが良好にコントロールされ(治療域にある時間が70%以上)、副作用がない場合には、この薬物療法を継続することが妥当。

High/Strong

NVAFまたはVTEの長期治療薬としてのリバーロキサバン

NVAFまたはNTEの長期治療に使用される用量では、リバーロキサバンは他のDOAC、特にアピキサバンよりも高齢者における大出血および消化管出血のリスクが高い。

・リバーロキサバンは、服薬アドヒアランスを促進するために11回投与が必要な場合など、特殊な状況において妥当。

・すべてのDOACはワルファリンよりも頭蓋内出血のリスクが低い。

AFVTEの長期治療には使用せず、より安全な抗凝固薬を使用する。

Moderate/Strong

ジピリダモール、経口短時間作用型(アスピリンとの長時間作用方併用は除く)

・起立性低血圧を引き起こす可能性がある

・より効果的な代替薬がある

・心臓負荷試験での使用には静脈内投与が許容される。

・避けるべき

Moderate/Strong

高血圧治療における非選択的末梢性α1遮断薬

・ドキサゾシン

・プラゾシン

・テラゾシン

・特に高齢者では、起立性低血圧とそれに伴う有害性のリスクが高い。

・高血圧のルーチン治療としては推奨されない

・代替薬の方がリスク/ベネフィットが優れている。

・降圧剤としての使用は避ける。

Moderate/Strong

高血圧治療のための中枢性α作動薬

・クロニジン

グアンファシン

・中枢神経系への有害作用のリスクが高い

・徐脈および起立性低血圧を引き起こす可能性がある

・高血圧のルーチン治療としては推奨されない。

・高血圧の第一選択薬としてのクロニジンは避ける。

・他の中枢性α作動薬による高血圧治療も避ける。

Low/Strong

ニフェジピン(immediate release)

・低血圧の可能性がある。

・心筋虚血を誘発する危険性がある。

・避けるべき

High/Strong

アミオダロン

・洞調律の維持に有効であるが、心房細動に使用される他の抗不整脈薬よりも毒性が強い。

・心拍数のコントロールよりもリズムのコントロールを優先する場合、心不全または重度の左室肥大を合併している患者では、妥当な第一選択薬となりうる。

心不全や重度の左室肥大がない限り、心房細動の第一選択治療としては避ける。

High/Strong

心房細動または心不全の第一選択薬としてのジゴキシン

・心房細動での使用:心拍数コントロールにはより安全で効果的な代替薬があるため、第一選択薬として使用すべきではない。

心不全における使用:ジゴキシンの有益性と有害性に関するエビデンスは矛盾しており、質も低い。ほとんどの(すべてではない)エビデンスHFrEFにおける使用に関するものである。成人HFrEFにおける入院と死亡を減少させる第一選択療法としての他の薬剤には強力なエビデンスがある。心不全では、高用量はさらなる有益性とは関連せず、毒性のリスクを増加させる可能性がある。現在ジゴキシンを使用しているHFrEF患者では、投与中止後の臨床転帰の悪化を示唆するエビデンスがわずかながらあり、ジゴキシンの投与中止には注意が必要である。

ジゴキシンの腎クリアランスが低下すると、毒性作用のリスクが高まる可能性があり、CKD Stage4-5の患者には、さらなる減量が必要な場合がある。

・心房細動の第一選択薬として使用することは避ける。

心不全の第一選択薬としては避ける。

・心房細動または心不全に使用する場合は、0.125mg/日を超える用量を避ける。

心房細動・心不全Low/Strong

0.125mg/日を超える用量:Moderate/Strong

中枢神経系

抗コリン作用の強い抗うつ薬単独使用または併用

・アミトリプチリン

アモキサピン

クロミプラミン

・デシプラミン

・ドキセピン6mg/

・イミプラミン

・ノルトリプチリン

パロキセチン

・抗コリン作用が強く、鎮静作用があり、起立性低血圧を引き起こす

・低用量ドキセピン(≦6mg/日)の安全性プロファイルはプラセボと同等である。

・避けるべき。

High/Strong

強い抗コリン作用有するパーキンソン病

・ベンズトロピン(経口)

・トリヘキシフェニジル

・抗精神病薬による錐体外路症状の予防または治療には推奨されない

パーキンソン病の治療にはより効果的な薬剤がある。

・避けるべき。

Moderate/Strong

精神病(第一世代(定型)と第二世代非定型)

・アリピプラゾール

ハロペリドール

・オランザピン

・クエチアピン

・リスペリドン

認知症患者では脳卒中のリスク高くなり、認知機能低下死亡率のリスクが高い

認知症とは無関係に抗精神病薬と死亡率との間にリスク増加の関連があること

が示唆される。

認知症やせん妄に対する抗精神病薬は、非薬理学的選択肢が無効であり、患者が自他に対する実質的な危害を脅かしている場合を除き、避けるべき。

・使用する場合は、継続的な必要性または最低有効量を評価するために、定期的な減薬を試みることを考慮すべき。

統合失調症双極性障害パーキンソン病精神病、大うつ病性障害の併用療法、制吐剤としての短期使用は許容される。

Moderate/Strong

バルビツール酸塩

・ブタルビタール

フェノバルビタール

プリミドン

・高い身体依存性、睡眠効果に対する耐性、低用量での過量投与のリスクが高い。

・避けるべき。

High/Strong

ベンゾジアゼピン

アルプラゾラム

・クロルジアゼポキシド(単独またはアミトリプチリン、クリジニウムとの併用)

・クロバザム

・クロナゼパム

・クロラゼペート

ジアゼパム

エスタゾラム

ロラゼパム

ミダゾラム

・オキサゼパム

・テマゼパム

トリアゾラム

ベンゾジアゼピンの使用、乱用、誤用、中毒リスク。

オピオイドとの併用は、深い鎮静、呼吸抑制、昏睡、死に至る可能性がある

・高齢者はベンゾジアゼピンに対する感受性が高く、長時間作用型薬剤の代謝が低下している。

ベンゾジアゼピンの継続的な使用は、臨床的に重大な身体依存につながる可能性がある。

・すべてのベンゾジアゼピン系薬剤は、高齢者の認知障害、せん妄、転倒、骨折、自動車事故のリスクを増加させる。

SeizureREM睡眠行動障害、ベンゾジアゼピン離脱症状、アルコール離脱症状、重度の全般性不安障害、周術期麻酔には適切とされる。

避けるべき

Moderate/Strong

ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」)

エスゾピクロン

・ザレプロン

ゾルピデム

・非ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」)は、高齢者においてベンゾジアゼピン系催眠薬と同様の有害事象(せん妄、転倒、骨折、救急外来受診/入院の増加、自動車事故など)があり、睡眠潜時および睡眠時間の改善はわずかである

・避けるべき。

Moderate/Strong

メプロバメート

・身体依存率が高く、鎮静作用が強い。

・避けるべき。

Moderate/Strong

エルゴロイドメシル酸塩(脱水素化エルゴットアルカロイド

・効果がない

・避けるべき。

High/Strong

内分泌系

アンドロゲン

・メチルテストステロン

・テストステロン

前立腺癌の男性における潜在的リスクである心疾患のリスクが高まる。

・臨床症状を伴う性腺機能低下症が確認された場合以外避けるべき。

Moderate/Weak

プロゲスチンを含むまたは含まないエストロゲン

(天然および合成エストロゲン製剤を含む)

・発がん性(乳房および子宮内膜のリスク

・高齢女性における心臓保護効果および認知保護効果の欠如60歳以上でHRTを開始する女性にとって、HRTは心臓病、脳卒中血栓症認知症のリスク上昇につながるため、メリットよりもリスクの方が大きい

乳がんの既往歴があり、非ホルモン療法に反応しない女性は、低用量膣エストロゲン(例、エストラジオールの用量25μg2回)のリスクとベネフィットについて医療従事者と相談することが勧められる。

・全身性エストロゲン(経口錠剤または経皮パッチ):開始しない。すでにこの薬物を使用している高齢女性に、処方中止を考慮する

・膣クリームまたは膣錠:性交困難症、再発性下部尿路感染症、その他の膣症状の管理に低用量の膣内エストロゲンを使用することは許容される。

経口およびパッチ:High/Strong

膣クリームまたは膣錠:Moderate/Weak

インスリンスライディングスケール(基礎インスリンまたは長時間作用型インスリンを併用せず、現在の血糖値に応じて投与する短時間作用型または速効型インスリンのみを含むインスリンレジメン)

・治療環境にかかわらず、高血糖管理が改善されなければ低血糖のリスクが高くなる

・基礎インスリンまたは長時間作用型インスリンを同時に使用せず、現在の血糖値に従って投与される短時間作用型または速効型インスリンだけを含むインスリンレジメンは避ける

・この推奨は、基礎インスリンまたは長時間作用型インスリンを含むレジメンには適用されない。

・避けるべき。

Moderate/Strong

スルホニル尿素薬(短時間作用型、長時間作用型を含むすべて)

・グリクラジド

・グリメピリド

・グリピジド

・グリブリドグリベンクラミド

・スルホニル尿素薬は代替薬と比較して心血管イベント、全死亡、低血糖のリスクが高い

・スルホニル尿素は心血管死と虚血性脳卒中のリスクを増加させる可能性がある。

・スルホニル尿素薬の中でも、長時間作用型薬剤(例、グリブリド、グリメピリド)は短時間作用型薬剤(例、グリピジド)よりも低血糖が長引くリスクが高い。

・より安全で効果的な薬剤を使用するための実質的な障壁がない限り、スルホニル尿素薬を第一選択薬または第二選択薬として使用することは避ける

・スルホニルウレア系薬剤を使用する場合は、長時間作用型薬剤(グリブリド、グリメピリドなど)よりも短時間作用型薬剤(グリピジドなど)を選択する。

低血糖症High/Strong

心血管イベント全死亡Moderate/Strong

心血管死亡と虚血性脳卒中Low/Strong

乾燥甲状

・心臓への影響が懸念され、より安全な代替薬がある。

・避けるべき。

Moderate/Strong

メゲストロール

・体重への影響はほとんどない。

・高齢者では血栓イベントのリスクが高くなり、死亡リスクも高くなる。

・避けるべき。

Moderate/Strong

成長ホルモン

・体組成への影響は小さく、浮腫、関節痛、手根管症候群女性化乳房、空腹時血糖障害を伴う。

・ただし、確立された病因による成長ホルモン欠乏症が厳密に診断された患者を除く。

High/Strong

消化器系

PPI

・デクスランソプラゾール

・エソメプラゾール

・ランソプラゾール

・オメプラゾール

・パントプラゾール

・ラベプラゾール

CDI、肺炎、消化器悪性腫瘍、骨量減少、骨折のリスク。

・ただし、高リスクの患者(経口コルチコステロイドやNSAIDの慢性使用など)、びらん性食道炎、Barrett食道炎、病的な分泌過多状態、維持療法の必要性が証明された場合(薬剤中止試験やH2受容体拮抗薬の失敗などは許容される。

CDI、骨量減少、骨折High/Strong

肺炎と消化器悪性腫瘍Moderate/Strong

メトクロプラミド

・遅発性ジスキネジアを含む錐体外路系作用を引き起こす可能性がある。特にフレイルな高齢者や長期にわたる曝露ではリスクが高くなる可能性がある。

・ただし、胃不全麻痺で使用期間が12週間を超えない場合は許与される。

Moderate/Strong

強力な抗コリン作用を有する消化管鎮痙薬

・アトロピン(眼科用を除く)

・クリジニウム-クロルジアゼポキシド

・ジサイクロミ

・ヒヨスチアミン

・スコポラミン

・抗コリン作用が強く、有効性は不明。

・避けるべき。

Moderate/Strong

ミネラルオイル、経口投与

誤嚥や副作用の可能性がある。

・避けるべき。

Moderate/Strong

泌尿生殖器

デスモプレシン

・低ナトリウム血症のリスクが高い

・夜間頻尿に対するより安全な代替治療(非薬物療法を含む)がある。

・夜間頻尿や夜間多尿の治療には使用しない。

Moderate/Strong

鎮痛薬

COX-2選択的経口NSAIDs

アスピリン325mg/

・ジクロフェナク

・ジフルニサル

・エトドラク

・フルルビプロフェン

イブプロフェン

インドメタシン

・ケトロラク

・メロキシカム

・ナブメトン

・ナプロキセン

・オキサプロジン

ピロキシカム

スリンダク

75歳を超える患者、経口または非経口のコルチコステロイド、抗凝固薬、抗血小板薬を服用している患者を含む高リスク群では、消化管出血または消化性潰瘍疾患のリスクが増加する。

PPIまたはミソプロストールの使用はリスクを軽減するが、リスクをなくすことはできない。

NSAIDsによる上部消化管潰瘍、肉眼的出血、穿孔は、36ヵ月間治療した患者の~1%、1年間治療した患者の~2-4%にみられる。

・血圧を上昇させ、腎障害を誘発することもある。

・リスクは用量に関連する。

・他の代替手段が有効でなく、患者が胃保護薬(PPIまたはミソプロストール)を服用できる場合を除き、慢性的な使用は避ける。

経口または非経口のコルチコステロイド、抗凝固薬、抗血小板薬との併用は、他の選択肢が有効でなく、患者が胃腸保護薬(プロトンポンプ阻害薬またはミソプロストール)を服用できる場合を除き、短期間の使用も避ける。

Moderate/Strong

インドメタシン

ケトロラク(経口および非経口)

・高齢者では消化管出血/消化性潰瘍疾患および急性腎障害のリスクが増加する。

・すべてのNSAIDsの中で、インドメタシンは中枢神経系への有害作用のリスクが高いなど、有害作用が最も高い。

・避けるべき。

Moderate/Strong

メペリジン

・一般的に使用される用量では効果がない

・せん妄を含む神経毒性のリスクが他のオピオイドより高い可能性があり、より安全な代替薬がある。

・避けるべき。

Moderate/Strong

骨格筋弛緩薬

・カリソプロドール

・クロルゾキサゾン

・シクロベンザプリン

・メタキサロン

・メトカルバモール

・オルフェナドリン

・筋骨格系の不定愁訴の治療に一般的に用いられる筋弛緩薬は、抗コリン性の副作用、鎮静作用、骨折リスクの増大のため、高齢者の忍容性が低い。

・高齢者が忍容できる用量での有効性には疑問がある。

・この基準は、痙縮の管理に通常使用される骨格筋弛緩剤(バクロフェンやチザニジン)には適用されないが、これらの薬剤もかなりの副作用を引き起こす可能性がある。

・避けるべき。

Moderate/Strong




高齢者に疾患・病態毎に潜在的に不適切となりうる薬剤

Disease or syndrome

Drugs

Rationale

Recommendation

Quality of evidence/

Strength of recommendation

心血管系

心不全

シロスタゾール

デキストロメトルファン-キニジン

非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(CCBs)

 ・ジルチアゼム

 ・ベラパミル

ドロネダロン

ステロイド性抗炎症薬

COX-2阻害薬

チアゾリジン系化合物

 ・ピオグリタゾン

・体液貯留を促進または心不全を悪化させる可能性(NSAIDsCOX-2阻害薬、非ジヒドロピリジンCCB s、チアゾリジン系薬剤)。

心不全を有する高齢者の死亡率を増加させる可能性(シロスタゾール、ドロネダロン)。

QT延長の懸念(デキストロメトルファン-キニジン)。

これは、心不全患者で避けるべき薬剤の包括的なリストではない。

・避けるべき:・シロスタゾール、デキストロメトルファン-キニジン

HFrEFで避けるべき:非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(CCBs)(ジルチアゼム、ベラパミル)

無症状の心不全患者には慎重に使用し、有症候性心不全患者には避けるべき:ドロネダロン、非ステロイド性抗炎症薬、COX-2阻害薬、チアゾリジン系化合物(ピオグリタゾン)

シロスタゾール、デキストロメトルファン-キニジンCOX-2阻害薬:Low/Strong

非ジヒドロピリジンCCBNSAIDsModerate/Strong

ドロネダロン、チアゾリジン系化合物:High/Strong

失神

抗精神病薬(一部)

 ・クロルプロマジン

 ・オランザピン

コリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)

 ・ドネペジル

 ・ガランタミン

 ・リバスチグミン

非選択的末梢性α1遮断薬

 ・ドキサゾシン

 ・プラゾシン

 ・テラゾシン

三環系抗うつ薬TCAs)

 ・アミトリプチリン

 ・クロミプラミン

 ・ドキセピン

 ・イミプラミン

抗精神病薬TCAは起立性低血圧のリスクを増加させる。

・AChEIは徐脈を引き起こすため、徐脈が原因の失神の可能性がある高齢者には避けるべきである。

・非選択的末梢α1遮断薬は起立性血圧の変化を引き起こすため、起立性低血圧が原因の失神の可能性がある高齢者には避けるべきである。

・避けるべき。

抗精神病薬、非選択的末梢性α1遮断薬:High/Weak

AChEITCAHigh/Strong

中枢神経系

せん妄

抗コリン薬(Table7参照)

抗精神病薬

ベンゾジアゼピン

副腎皮質ステロイド(経口および非経口)

H2受容体拮抗薬

 ・シメチジン

 ・ファモチジン

 ・ニザチジン

 非ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」)

 ・エスゾピクロン

 ・ザレプロン

 ・ゾルピデム

オピオイド

・せん妄を誘発または悪化させる可能性があるため、せん妄のある高齢者またはそのリスクの高い高齢者には避ける。

抗精神病薬認知症やせん妄の行動問題に対しては、非薬理学的選択肢が無効または不可能であり、高齢者が自他に重大な危害を及ぼす恐れがある場合を除き、使用を避ける。使用する場合は、継続的な必要性または最低有効量を評価するために、定期的な減薬を試みることを考慮すべきである。

・副腎皮質ステロイド:必要な場合は、可能な限り低用量を最短期間使用し、せん妄の有無を監視する。

オピオイドオピオイド投与とせん妄との関連を強調する新たなデータがある。疼痛のある高齢者に対しては、有効性の確認された疼痛評価ツールの使用や、オピオイドの使用を最小限に抑えるための非薬物的アプローチを含む多剤併用戦略など、バランスの取れたアプローチを用いるべき。

ただし、根拠となる記述の下に記載されている状況を除く。

H2受容体拮抗薬:Low/Strong

その:Moderate/Strong

認知症または認知機能障害

抗コリン薬(Table7参照)

抗精神病薬(慢性使用または持続的頓用) 

ベンゾジアゼピン

ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」)

 ・エスゾピクロン

 ・ザレプロン

 ・ゾルピデム

・中枢神経系に悪影響を及ぼすので避ける。

抗精神病薬認知症患者では脳卒中のリスクが増加し、認知機能の低下と死亡率が高くなる。認知症やせん妄の行動問題に対する抗精神病薬は、非薬理学的選択肢が失敗した場合、または患者が自他に重大な危害を及ぼす恐れがある場合を除き、避ける。使用する場合は、継続的な必要性または最低有効量を評価するために、定期的な減薬を試みることを考慮すべきである。

・避けるべ。

Moderate/Strong

転倒や骨折の既往歴

抗コリン薬(Table7

抗うつ薬(一部)

 ・SNRI

 ・SSRI

 ・三環系抗うつ薬   

  (TCAs)

てんかん

抗精神病薬

ベンゾジアゼピン

ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」)

 ・エスゾピクロン

 ・ザレプロン

 ・ゾルピデム

オピオイド

・運動失調、精神運動機能低下、失神、転倒を引き起こす可能性がある。

抗うつ薬:転倒および骨折のリスクに関するエビデンスはまちまち。新しいエビデンスSNRIが転倒リスクを増加させる可能性を示唆している。

ベンゾジアゼピン抗不安薬:短時間作用型は長時間作用型より安全ではない。

いずれかの薬剤を使用しなければならない場合は、転倒や骨折のリスクを高める他の中枢神経系に作用する薬剤(抗コリン薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗精神病薬ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬を含む鎮静薬/催眠薬、オピオイド)の使用を減らし、転倒リスクを減らすための他の戦略を実施することを考慮する。

・より安全な代替品がない場合は避ける。

・抗てんかん薬:Seizure気分障害以外は避ける。

オピオイド:重度の急性疼痛時の疼痛管理以外は避ける。

抗うつ薬オピオイドModerate/Strong

その他:High/Strong

パーキンソン病

制吐剤

 ・メトクロプラミド

 ・プロクロルペラジン

 ・プロメタジン

抗精神病薬(クロザピン、ピマバンセリン、クエチアピンを除く)

・パーキンソン症状を悪化させる可能性のあるドパミン受容体拮抗薬を避ける。

例外:クロザピン、ピマバンセリン、クエチアピンは他の抗精神病薬に比べてパーキンソン病の悪化を促進しにくい。

・避けるべき

Moderate/Strong

消化器系

胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往歴

アスピリン

COX-2選択的NSAIDs

・既存の潰瘍を悪化させたり、新たな潰瘍を引き起こす可能性がある。

・他の選択肢が有効でなく、患者が胃保護薬(プロトンポンプ阻害薬やミソプロストールなど)を服用できる場合を除き、避けるべき。

Moderate/Strong

腎泌尿器系

女性の尿失禁(すべてのタイプ)

非選択的末梢性α1社弾

 ・ドキサゾシン

 ・プラゾシン

 ・テラゾシン

エストロゲン(経口および経皮)(膣内エストロゲンを除く)

・失禁の悪化(α1遮断薬)、有効性の欠如(経口エストロゲン

・女性の場合は避けるべき。

非選択的末梢性α1遮断薬:Moderate/Strong

エストロゲンHigh/Strong

下部尿路症状(前立腺肥大症)

・尿失禁に対する抗ムスカリン薬を除く、抗コリン作用の強い薬物(Table7参照)

・尿量を減少させ、尿閉を引き起こす可能性がある。

・男性の場合は避ける

Moderate/Strong

 

 

高齢者に潜在的に不適切となりうるため、慎重に使用すべき薬剤

Drugs

Rationale

Recommendation

Quality of evidence/

Strength of recommendation

NVAFまたはVTE長期治療薬としてのダビガトラン

・高齢者おいてNVAFまたVTEの長期治療に使用した場合、ワルファリンと比較して消化管出血のリスク高く、アピキサバンと比較して消化管出血および大出血リスクが高い。

NVAFまたVTEの長期治療において、他のDOAC(例:アピキサバン)よりも、ダビガトランを選択する場合には注意が必要である。

Moderate/Strong

プラスグレル

チカグレロル

・両剤とも高齢者ではクロピドグレルと比較して大出血のリスクが増加し、特に75歳以上では顕著ある。

・ただし、このリスクは一部の患者では心血管系へ有益性の方が上回る可能性がある。

・特75歳以上の成人には注意して使用すること。

Moderate/Strong

抗うつ(一部)

・ミルタザピン

SNRI

SSRI

・TCA

てんかん一部)

カルバマゼピン

・オクスカルバゼピン

精神病薬

利尿剤

トラマドール

・SIADHまたは低ナトリウム血症を悪化または引き起こす可能性ある

・高齢者で投与を開始または変更する場合は、ナトリウム値を注意深く監視すること。

・使用には注意が必要

Moderate/Strong

デキストロメトルファン/キニジン

認知症の行動症状を有する患者における有効性は限定的(情動調節障害の治療には適用されない

・転倒のリスクを増加させる可能性があり、臨床的に重要な薬物相互作用や心不全患者への使用に懸念ある。Table3参照)

・使用には注意が必要

Moderate/Strong

ST合剤

CrClが低下している状態ACE-I/ARB、ARNIと併用した場合、高カリウム血症のリスクが増大する。

・ACE-I/ARB、ARNI投与中でCrClが低下している患者には慎重に使用すること。

Low/Strong

SGLT2阻害

カニグリフロジン

・ダパグリフロジン

・エンパグリフロジン

・エルツグリフロジン

・高齢者では泌尿生殖器感染症のリスクが高まる可能性があり、特に治療開始1月の女性はその傾向が強い

・高齢者、正常血糖DKAリスクも増加している。

・注意して使用すること。

・泌尿生殖器感染症ケトアシドーシスついてモニターする。

Moderate/Weak

 

 

薬物相互作用の観点から高齢者に潜在的に不適切となりうる薬剤

 

Object drug or class

Interacting drug or class

Risk rationale

Recommendation

Quality of evidence/

Strength of recommendation

RAS阻害薬(ACEI、ARB、ARNI、アリスキレン)またカリウム保持性利尿アミロライド、トリアムテレン)

RAS阻害薬またカリウム保持性利尿

・高カリウム血症のリスクが高まる。

CKDStage3a以上の患者では、2種類以上のRAS阻害薬、またはRAS阻害薬カリウム保持性利尿薬のルーチンの同時使用を避ける。

Moderate/Strong

オピオイド

・ガバペンチン

・プレガバリン

・呼吸抑制や死亡を含む重篤な鎮静関連の有害事象のリスクが増加した。

オピオイド療法からガバペンチンまたはプレガバリンに移行する場合、あるいはオピオイドの減量のためにガバペンチノイドを使用する場合は例外であるが、どのような状況においても注意が必要である。

Moderate/Strong

コリン薬

コリン薬

・抗コリン作用を有する薬剤を2種類以上使用すると、認知機能の低下、せん妄、転倒や骨折のリスクが高まる。

・抗コリン薬避ける、最小限するTable7参照)

Moderate/Strong

・抗てんかん薬(ガバペンチノイドを含む)

・抗うつ薬(TCA、SSRISNRI

・抗精神病薬

ベンゾジアゼピン

・非ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(すなわち「Z-drugs」)

オピオイド

・骨格筋弛緩薬

これらの中枢神経系に作用する薬剤のうち3種類以上の組み合わせ

3種類以上の中枢神経系作用薬(ガバペンチノイドを含む抗てんかん薬、抗うつ薬抗精神病薬ベンゾジアゼピン系薬剤、非ベンゾジアゼピンベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬、オピオイド、骨格筋弛緩薬)の併用により転倒および骨折のリスクが増加する。

3種類以上の中枢神経系に作用する薬剤(左記の種類のうち)の同時使用を避け、中枢神経系に作用する薬剤の数を最小限にする。

High/Strong

リチウム

ACE-I/ARB

ARNI

・リチウム中毒のリスクが高まる

・避けるべき。

・リチウム濃度をmonitorする。

Moderate/Strong

リチウム

ループ利尿薬

・リチウム中毒のリスクが高まる

・避けるべき。

・リチウム濃度をmonitorする。

Moderate/Strong

非選択的末梢性α1遮断

ループ利尿薬

・高齢女性における尿失禁リスクの増加。

・高齢の女性では、両薬剤を必要とする状況でない限り避ける。

Moderate/Strong

フェニトイン

ST合剤

・フェニトイン中毒のリスク増大。

・避けるべき。

Moderate/Strong

テオフィリン

シメチジン

・テオフィリン中毒のリスク増大。

・避けるべき。

Moderate/Strong

テオフィリン

シプロフロキサシン

・テオフィリン中毒のリスク増大。

・避けるべき。

Moderate/Strong

ワルファリン

アミオダロン

シプロフロキサシン

マクロライド系薬剤(アジスロマイシンを除く)

ST合剤

SSRI

・出血のリスクが高まる。

・可能な限り避ける

・併用する場合は、INRを注意深くモニターする。

Moderate/Strong

 

 

高齢者への使用で、腎機能障害のため中止または減量が必要な薬剤

Drug

CrCl (mL/min) at which action is required

Rationale

Recommendation

Quality of evidence/

Strength of recommendation

感染症

シプロフロキサシン

<30

・中枢神経系への影響(痙攣、錯乱など)や腱断裂のリスクが高まる。

・CrCl30mL/分未満の場合に減量が必要である。

Moderate/Strong

ニトロフラントイン

<30

・特に長期使用により、肺毒性、肝毒性、末梢神経障害の可能性がある。

・CrCl <30 mL/分の場合は避ける。

Low/Strong

ST合剤

<30

・腎機能悪化および高カリウム血症のリスクが増大する

・高カリウム血症のリスクは、ACE/ARBまたはARNIとの同時使用で特に顕著となる。

・CrCl1529mL/分の場合は投与量を減らす。

・CrCl15mL/分未満の場合は避ける。

Moderate/Strong

心血管、抗血栓

アミロリド

<30

・高カリウム血症および低ナトリウム血症のリスクがある

・避けるべき。

Moderate/Strong

ダビガトラン

<30

・CrCl30mL/分未満の患者における有効性および安全性に関するエビデンスが不足している。

CrCl 15~30 mL/minの用量表示は、薬物動態データに基づく。

・CrCl30mL/分未満の場合は避ける。

・薬物相互作用がありCrCl30mL/分以上の場合は用量調節が勧められる。

Moderate/Strong

ドフェチリド

<60

・QTc延長とtorsades de pointesのリスクがある。

・CrCl2059mL/分の場合は投与量を減らす。

・CrCl20mL/分未満の場合は避ける

Moderate/Strong

エドキサバン

15-50

<15 または > 95

・CrCl30mL/min未満の患者における有効性または安全性のエビデンスを欠く。

・CrCl1550mL/分の場合は投与量を減らす。

・CrCl15未満または95mL/分以上の場合は避ける。

Moderate/Strong

エノキサパリン

<30

・出血リスクの増大

・投与量を減らす。

Moderate/Strong

フォンダパリヌクス

<30

・出血リスクの増大

・避けるべき。

Moderate/Strong

リバーロキサバン

<50

・CrCl15mL/分未満の患者における有効性または安全性のエビデンスは乏しく、CrCl1530mL/分の患者におけるエビデンスは限られている。

・CrCl15mL/分未満の場合は避ける。

・CrCl1550mL/minの場合は、適応症に応じた投与量に基づき、メーカーが推奨する投与量に従って投与量を減らす。

Moderate/Strong

スピロノラクトン

<30

カリウム血症

・避けるべき。

Moderate/Strong

トリアムテレン

<30

カリウム血症および低ナトリウム血症

・避けるべき。

Moderate/Strong

中枢神経系、鎮痛薬

バクロフェン

eGFR60未満

・eGFR60mL/分未満の高齢者または慢性透析を必要とする高齢者では、入院を要する脳症のリスクが増加する。

・腎機能障害のある高齢者(eGFR<60mL/分)では、バクロフェンの投与を避ける。

・バクロフェンを避けることができない場合は、最低有効量を使用し、精神状態の変化などの中枢神経系毒性の徴候がないかmonitorする。

Moderate/Strong

デュロキセチン

<30

・消化器系の副作用の増加(吐き気、下痢)

・避けるべき。

Moderate/Weak

ガバペンチン

<60

・中枢神経系への悪影響

・投与量を減らす。

Moderate/Strong

レベチラセタム

80

・中枢神経系への悪影響

・投与量を減らす。

Moderate/Strong

NSAIDs(非選択的、COX-2選択的、非アセチル化サリチル酸塩、経口および非経口

< 30

・急性腎障害のリスクを高め、腎機能をさらに低下させる可能性がある。

・避けるべき.

Moderate/Strong

プレガバリン

<60

・中枢神経系への悪影響

・投与量を減らすべき。

Moderate/Strong

トラマドール

<30

・中枢神経系への悪影響

Immediate release:投与量を減らす。

Extended-release::避ける。

Low/Weak

消化器系

シメチジン

<50

・精神状態の変化

・投与量を減らすべき。

Moderate/Strong

ファモチジン

<50

・精神状態の変化

・投与量を減らすべき。

Moderate/Strong

ニザチジン

<50

・精神状態の変化

・投与量を減らすべき。

Moderate/Strong

高尿酸血症

コルヒチン

<30

・消化器、神経筋、骨髄毒性。

・投与量を減らすべき。

・副作用をmonitorする

Moderate/Strong

プロベネシド

<30

・有効性がない。

・避けるべき。

Moderate/Strong

 

 

 

強い抗コリン作用を有する薬剤

強い抗コリン作用を有する薬物

うつ

・アミトリプチリン

アモキサピン

クロミプラミン

・デシプラミン

・ドキセピン(6mg/日超)

・イミプラミン

・ノルトリプチリン

パロキセチン

制吐剤

プロクロルペラジン

・プロメタジン

ヒスタミン薬(第一世代

・ブロムフェニラミン

・クロルフェニラミン

・シプロヘプタジン

・ジメンヒドリナート

ジフェンヒドラミン

・ドキシラミン

・ヒドロキシジン

・メクリジン

・プロメタジン

・トリプロリジン

ムスカリン

・ダリフェナシン

・フェソテロジン

・フラボキサート

・オキシブチニン

・ソリフェナシン

・トルテロジン

・トロスピウム

パーキンソン病

・ベンズトロピン

・トリヘキシフェニジル

精神病

クロルプロマジン

・クロザピン

・オランザピン

ペルフェナジン

鎮痙

・アトロピン

・クリジニウム-クロルジアゼポキシド

・ジサイクロミ

・ホマトロピン

・ヒヨスチアミン

・スコポラミン

骨格筋弛緩

・シクロベンザプリン

・オルフェナドリン

 

2019年のCriteriaから除外された薬剤

Medication/Criterion

Reason for removal

診断や病態に依存しない(Table2

カルビノキサミン

使用頻度が低い

クレマスチン

使用頻度が低い

デキストロブロムフィニラミン

米国市場にはない

デキスクロルフェニラミン

使用頻度が低い

ピリラミン

米国市場にはない

ベラドンナアルカロイド

米国市場にはない

メスコポラミン

使用頻度が低い

プロパンテリン

米国市場にはない

グアナベンズ

米国市場にはない

メチルドパ

米国市場にはない

レセルピン(0.1mg/日を超える)

米国市場にはない

ジソピラミド

使用頻度が低い

プロトリプチリン

使用頻度が低い

トリミプラミン

使用頻度が低い

アモバルビタール

使用量が少なく、注射薬としてのみ入手可能

ブトバルビタール

使用頻度が低い

メフォバルビタール

米国市場にはない

ペントバルビタール

米国市場にはない

セコバルビタール

米国市場にはない

フルラゼパム

使用頻度が低い

クアゼパム

使用頻度が低い

イソクスプリン

米国市場にはない

クロルプロパミド

米国市場にはない

フェノプロフェン

使用頻度が低い

ケトプロフェン

使用頻度が低い

メクロフェナマート

使用頻度が低い

メフェナム酸

使用頻度が低い

トルメチン

米国市場にはない

疾患と症候群の相互作用を考慮する(Table3

心不全

ロシグリタゾン

米国市場にはない

失神

チオリダジン

使用頻度が低い

せん妄

メペリジン

メペリジンに関する具体的な言及は、本基準に追加されたオピオイドの一般的なカテゴリーに含まれるため、本基準から削除された。

ラニチジン

米国市場から撤退した。

臨床的に重要な薬物-薬物相互作用(Table5

コルチコステロイド(経口または非経口)+NSAIDs

Table2経口非ステロイド性抗炎症薬投与基準組み込まれた。

ワルファリン+非ステロイド性抗炎症薬

Table2の経口NSAID基準(すなわち、抗凝固薬を服用している高齢者では、NSAIDの短期間の定期的、予定された使用を避けるよう推奨)組み込まれた。

腎機能が低下している場合に使用を避けるか、量を減らすべき薬(Table6

CrCl<25mL/minの患者におけるアピキサバン

腎機能低下時の安全使用を支持する新たなエビデンス臨床経験

ラニチジン

米国市場から撤退

抗コリン作用の強い薬物(Table7)

ロキサピン

使用頻度が低い

 

2019年のCriteriaから追加された薬剤

Medication/Criterion

Reason for addition

診断や病態に依存しない(Table2

ワルファリン

新たなデータと国家勧告/専門家ガイダンスの変更

疾患と症候群の相互作用を考慮する(Table3

心不全

デキストロメトルファン-キニジン

添付文書によるサポート

せん妄

オピオイド

新たなデータ

転倒または骨折の既往歴

抗コリン薬

新たなデータと提言の一貫性

注意して使用すること(Table4

チカグレロル

新たなデータ

SGLT2阻害

新たなデータと臨床上の懸念

臨床的に重要な薬物-薬物相互作用(Table5

骨格筋弛緩に中枢神経系に作用する薬剤を3種類以上併用する

他の中枢神経系作用薬との併用による副作用の懸念

リチウムARB/ARNI

データと参考資料による裏付け

ワルファリン+SSRI

データによる裏付け

腎機能が低下している場合に使用を避けるか、量を減らすべき薬(Table6

バクロフェン

懸念を裏付けるデータ

 

 

2019年のCriteriaから修正された薬剤

Medication/Criterion

Modification

診断や病態に依存しない(Table2

アスピリン

新しいエビデンス基づきTable4からTable2に移動

リバーロキサバン

エビデンスの蓄積に基づきTable4からTable2に移動

ドロネダロン

重症でない心不全患者における潜在的リスクに関するデータを反映するために明確化された。

ジゴキシン

現在ジゴキシンを使用しているHFrEF患者では、ジゴキシンの中止には注意が必要であることを明確にする記述を追加した。

抗コリン作用の強い抗うつ薬

強い抗コリン作用を有する抗うつ薬を明確にした。

抗精神病薬

新しいエビデンスを反映させ、より明確にするために文言更新した。

ベンゾジアゼピン

文言明確化をした。

アンドロゲン

アンドロゲンは潜在的なリスクをもたらすが、前立腺癌の既往歴のある男性に確実に禁忌ではないことを明確にした。

エストロゲン全身投与

データ裏付けられた情報を追加した。

スルホニル尿素

すべてのスルホニル尿素薬の有害転帰を支持するデータがあることから、基準を長時間作用型スルホニル尿素薬からすべてのスルホニル尿素薬に拡大した。

PPI

根拠となるデータが示され、さらに有害転帰が追加された。

ステロイド性抗炎症薬、経口剤

短期使用のハイリスクシナリオにおける適用明確化

(ワルファリンとのような薬物-薬物相互作用を含む)

骨格筋弛緩薬

一般的に筋骨格の訴えに使用される骨格筋弛緩剤と痙縮の治療に使用される骨格筋弛緩剤を区別するため、文言を明確にした。

疾患と症候群の相互作用を考慮するTable3

失神

TCA

・アミトリプチリン

クロミプラミン

・ドキセピン

・イミプラミン

この基準で言及されているTCAには、ここに列挙されているものが含まれることを明確にした。

認知症

精神病薬

データを反映させ、より明確にするために文言修正した。

せん妄

オピオイドに関するコメントの根拠を更新し、より明確した。

転倒または骨折の既往歴

うつ薬

エビデンスに基づきエビデンスレベルをhighからmoderate引き下げた。

パーキンソン病

根拠を明確にするために短くした。

女性の尿失禁

明瞭性を高めるために文言修正した。

注意して使用すること(Table4

プラスグレル

American College of Cardiology/American Heart Associationガイドラインで支持されている投与量の検討加えた。

デキストロメトルファン-キニジン

心不全に関する懸念が追加され、添付文書で裏付けられた。

ST合剤

完全性を期すため、ARNIを追加した(ARBを含むことを考慮)。

臨床的に重要な薬物-薬物相互作用(Table5

オピオイドベンゾジアゼピン

副作用のリスクを含めるよう修正した。

抗コリン薬+抗コリン薬

特定の有害事象を認識するため修正した。

3種類以上の中枢神経系作用薬の使用

懸念される医薬品の分類を明確にし、エビデンスレベルhigh 引き上げた。

ワルファリン

相互作用のある医薬品をリスト統合した。

腎機能が低下している場合に使用を避けるか、量を減らすべき薬(Table6

ニトロフラントイン

Table2の既存の推奨事項は、わかりやすさと使いやすさを高めるためTable6に重複して記載されている。

ST合剤

臨床での使いやすさをサポートするため、明確な文言を追加した。

リバーロキサバン

入手可能なエビデンスと添付文書に従ってCrClのカットオフ値を明確にした。

ステロイド性抗炎症薬

より一貫性を持たせるため、この基準Table3から移動し、文言を明確にした。