当院の有名な言葉として「いつも心に薬と結核」という言葉があります。病気を見たらまずは薬と結核が悪さをしてないかを考えます。
上司はいつも「高齢者の体調不良を見たら薬のせいと思え」と言います。do no harmがないようにまずは考えます。
ということで今回はBeers criteria(高齢者に不適切な薬物を減らすために公表されている)が更新されてみたので、まとめてみましょう。
Beers criteriaを使用するための原則をまずみてみましょう。
Beers Criteriaに含まれる薬剤は潜在的に不適切なものであり、絶対に不適切なものではない。 |
各基準の根拠と推奨文を読むことが重要であり、注意事項や指針も含む理解が必要。 |
Beers Criteriaに薬が含まれる理由を理解し、それに応じて薬へのアプローチを調整する。 |
Beers Criteriaの最適な適用には、PIM(Potentially Inappropriate Medication)を特定し、適切な場合には、より安全な非薬物療法と薬物療法を提供することが含まれる。 |
Beers Criteriaは、薬剤の適切性と安全性を特定し改善する包括的なプロセスの出発点となるべきである。 |
Beers Criteriaに含まれる薬剤へのアクセスは、事前承認や医療保険制度の適用方針によって過度に制限されるべきではない。 |
Beers Criteriaは、すべての国に等しく適用されるわけではない(薬剤の入手可能性が国によって異なるため)。 |
Beers criteriaはとても大切です。意識するとPIMを減らせると思います。ただし、絶対的に処方が不適切ではなく、社会的なことも含め、Beers criteriaを参考に、総合的にベストな判断が重要ですね。
それでは本文を見ていきましょう。
抗凝固療法に関する推奨事項
抗凝固療法に関する推奨事項 |
ワルファリン:VTEまたはNVAFの治療のための初回治療としてワルファリン を開始することは、他の選択肢(例えばDOAC)が禁忌であるか、その使用に実質的な障害がない限り避けるべき。ワルファリンを長期間使用している高齢者については、特にINRが良好にコントロールされ(すなわち、治療域にある時間が70%以上)、副作用がない場合には、この薬物療法を継続することが妥当であろう。
リバーロキサバン:非弁膜症性心房細動またはVTEの長期治療にはリバーロキサバンを使用せず、より安全な抗凝固薬を使用する。
ダビガトラン:非弁膜症性心房細動またはVTEの長期治療において、他のDOAC(例:アピキサバン)よりもダビガトランを選択する場合は注意が必要。 |
高齢者に潜在的に不適切となりうる薬剤
Organ system Therapeutic category Drugs |
Rationale |
Recommendation |
Quality of evidence/ Strength of recommendation |
抗ヒスタミン薬 |
|||
第一世代抗ヒスタミン薬 ・ブロムフェニラミン ・クロルフェニラミン ・シプロヘプタジン ・ジメンヒドリナート ・ドキシラミン ・ヒドロキシジン ・メクリジン ・プロメタジン ・トリプロリジン |
・抗コリン作用が強い。 ・高齢になるとクリアランスが低下し、催眠薬として使用すると耐性が生じるため、錯乱・口渇・便秘、その他の抗コリン作用または毒性のリスクとなる。抗コリン薬への累積曝露は、若年成人であっても転倒、せん妄、および認知症のリスク増加と関連する。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
抗感染症薬 |
|||
ニトロフラントイン |
肺毒性、肝毒性、末梢神経障害の可能性があり、特に長期使用では注意が必要である。 |
・CrClが30mL/分未満の場合は避ける。 |
Low/Strong |
心血管、抗血栓薬 |
|||
心血管疾患の一次予防のアスピリン |
・アスピリンによる大出血のリスクは高齢になると著しく増加する。 ・高齢者の一次予防のために開始した場合、有益性はなく、有害性がある可能性が示唆されている。 ・長期使用者のアスピリン中止に関するエビデンスは少ないが、開始に関する同様の原則が適用されると考えられる。 ※アスピリンは通常、心血管疾患の二次予防に使用される。 |
・心血管疾患の一次予防のためにアスピリンを開始することは避ける。 ・すでに一次予防のためにアスピリンを服用している高齢者には、中止を検討する。 |
High/Strong |
非弁膜症性心房細(NVAF)動または静脈血栓塞栓症(VTE)治療のためのワルファリン |
・DOACと比較すると、ワルファリンは大出血(特に頭蓋内出血)のリスクが高く、NVAFとVTEの治療効果は同等か低く、抗凝固療法にはDOACが望ましい選択である。 |
・NVAFまたはVTEの治療のための初回治療としてワルファリンを開始することは、DOACが禁忌であるか、その使用に実質的な障害がない限り避ける。 ・ワルルファリンを長期間使用している高齢者では、特にINRが良好にコントロールされ(治療域にある時間が70%以上)、副作用がない場合には、この薬物療法を継続することが妥当。 |
High/Strong |
NVAFまたはVTEの長期治療薬としてのリバーロキサバン |
・NVAFまたはNTEの長期治療に使用される用量では、リバーロキサバンは他のDOAC、特にアピキサバンよりも高齢者における大出血および消化管出血のリスクが高い。 ・リバーロキサバンは、服薬アドヒアランスを促進するために1日1回投与が必要な場合など、特殊な状況において妥当。 ・すべてのDOACはワルファリンよりも頭蓋内出血のリスクが低い。 |
・AFやVTEの長期治療には使用せず、より安全な抗凝固薬を使用する。 |
Moderate/Strong |
ジピリダモール、経口短時間作用型(アスピリンとの長時間作用方併用は除く) |
・起立性低血圧を引き起こす可能性がある ・より効果的な代替薬がある ・心臓負荷試験での使用には静脈内投与が許容される。 |
・避けるべき |
Moderate/Strong |
高血圧治療における非選択的末梢性α1遮断薬 ・ドキサゾシン ・プラゾシン ・テラゾシン |
・特に高齢者では、起立性低血圧とそれに伴う有害性のリスクが高い。 ・高血圧のルーチン治療としては推奨されない ・代替薬の方がリスク/ベネフィットが優れている。 |
・降圧剤としての使用は避ける。 |
Moderate/Strong |
高血圧治療のための中枢性α作動薬 ・クロニジン |
・中枢神経系への有害作用のリスクが高い ・徐脈および起立性低血圧を引き起こす可能性がある ・高血圧のルーチン治療としては推奨されない。 |
・高血圧の第一選択薬としてのクロニジンは避ける。 ・他の中枢性α作動薬による高血圧治療も避ける。 |
Low/Strong |
ニフェジピン(immediate release) |
・低血圧の可能性がある。 ・心筋虚血を誘発する危険性がある。 |
・避けるべき |
High/Strong |
アミオダロン |
・洞調律の維持に有効であるが、心房細動に使用される他の抗不整脈薬よりも毒性が強い。 ・心拍数のコントロールよりもリズムのコントロールを優先する場合、心不全または重度の左室肥大を合併している患者では、妥当な第一選択薬となりうる。 |
・心不全や重度の左室肥大がない限り、心房細動の第一選択治療としては避ける。 |
High/Strong |
・心房細動での使用:心拍数コントロールにはより安全で効果的な代替薬があるため、第一選択薬として使用すべきではない。 ・心不全における使用:ジゴキシンの有益性と有害性に関するエビデンスは矛盾しており、質も低い。ほとんどの(すべてではない)エビデンスはHFrEFにおける使用に関するものである。成人HFrEFにおける入院と死亡を減少させる第一選択療法としての他の薬剤には強力なエビデンスがある。心不全では、高用量はさらなる有益性とは関連せず、毒性のリスクを増加させる可能性がある。現在ジゴキシンを使用しているHFrEF患者では、投与中止後の臨床転帰の悪化を示唆するエビデンスがわずかながらあり、ジゴキシンの投与中止には注意が必要である。 ・ジゴキシンの腎クリアランスが低下すると、毒性作用のリスクが高まる可能性があり、CKD Stage4-5の患者には、さらなる減量が必要な場合がある。 |
・心房細動の第一選択薬として使用することは避ける。 ・心不全の第一選択薬としては避ける。 ・心房細動または心不全に使用する場合は、0.125mg/日を超える用量を避ける。 |
心房細動・心不全:Low/Strong 0.125mg/日を超える用量:Moderate/Strong |
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中枢神経系 |
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抗コリン作用の強い抗うつ薬の単独使用または併用 ・アミトリプチリン ・クロミプラミン ・デシプラミン ・ドキセピン>6mg/日 ・イミプラミン ・ノルトリプチリン |
・抗コリン作用が強く、鎮静作用があり、起立性低血圧を引き起こす。 ・低用量ドキセピン(≦6mg/日)の安全性プロファイルはプラセボと同等である。 |
・避けるべき。 |
High/Strong |
強い抗コリン作用を有する抗パーキンソン病薬 ・ベンズトロピン(経口) ・トリヘキシフェニジル |
・抗精神病薬による錐体外路症状の予防または治療には推奨されない ・パーキンソン病の治療にはより効果的な薬剤がある。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
抗精神病薬(第一世代(定型)と第二世代(非定型)) ・アリピプラゾール ・オランザピン ・クエチアピン ・リスペリドン |
・認知症患者では脳卒中のリスクが高くなり、認知機能低下と死亡率のリスクが高い。 ・認知症とは無関係に抗精神病薬と死亡率との間にリスク増加の関連があること が示唆される。 ・認知症やせん妄に対する抗精神病薬は、非薬理学的選択肢が無効であり、患者が自他に対する実質的な危害を脅かしている場合を除き、避けるべき。 ・使用する場合は、継続的な必要性または最低有効量を評価するために、定期的な減薬を試みることを考慮すべき。 |
Moderate/Strong |
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バルビツール酸塩 ・ブタルビタール |
・高い身体依存性、睡眠効果に対する耐性、低用量での過量投与のリスクが高い。 |
・避けるべき。 |
High/Strong |
・クロルジアゼポキシド(単独またはアミトリプチリン、クリジニウムとの併用) ・クロバザム ・クロナゼパム ・クロラゼペート ・オキサゼパム ・テマゼパム |
・ベンゾジアゼピンの使用は、乱用、誤用、中毒のリスク。 ・オピオイドとの併用は、深い鎮静、呼吸抑制、昏睡、死に至る可能性がある。 ・高齢者はベンゾジアゼピンに対する感受性が高く、長時間作用型薬剤の代謝が低下している。 ・ベンゾジアゼピンの継続的な使用は、臨床的に重大な身体依存につながる可能性がある。 ・すべてのベンゾジアゼピン系薬剤は、高齢者の認知障害、せん妄、転倒、骨折、自動車事故のリスクを増加させる。 ・Seizure、REM睡眠行動障害、ベンゾジアゼピン離脱症状、アルコール離脱症状、重度の全般性不安障害、周術期麻酔には適切とされる。 |
避けるべき |
Moderate/Strong |
非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」) ・エスゾピクロン ・ザレプロン |
・非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」)は、高齢者においてベンゾジアゼピン系催眠薬と同様の有害事象(せん妄、転倒、骨折、救急外来受診/入院の増加、自動車事故など)があり、睡眠潜時および睡眠時間の改善はわずかである。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
メプロバメート |
・身体依存率が高く、鎮静作用が強い。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
エルゴロイドメシル酸塩(脱水素化エルゴットアルカロイド) |
・効果がない |
・避けるべき。 |
High/Strong |
内分泌系 |
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アンドロゲン ・メチルテストステロン ・テストステロン |
・臨床症状を伴う性腺機能低下症が確認された場合以外は避けるべき。 |
Moderate/Weak |
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プロゲスチンを含むまたは含まないエストロゲン (天然および合成エストロゲン製剤を含む) |
・発がん性(乳房および子宮内膜)のリスク ・高齢女性における心臓保護効果および認知保護効果の欠如。60歳以上でHRTを開始する女性にとって、HRTは心臓病、脳卒中、血栓症、認知症のリスク上昇につながるため、メリットよりもリスクの方が大きい。 ・乳がんの既往歴があり、非ホルモン療法に反応しない女性は、低用量膣エストロゲン(例、エストラジオールの用量<25μg、週2回)のリスクとベネフィットについて医療従事者と相談することが勧められる。 |
・全身性エストロゲン(経口錠剤または経皮パッチ):開始しない。すでにこの薬物を使用している高齢女性には、処方中止を考慮する。 ・膣クリームまたは膣錠:性交困難症、再発性下部尿路感染症、その他の膣症状の管理に低用量の膣内エストロゲンを使用することは許容される。 |
経口およびパッチ:High/Strong 膣クリームまたは膣錠:Moderate/Weak |
インスリンスライディングスケール(基礎インスリンまたは長時間作用型インスリンを併用せず、現在の血糖値に応じて投与する短時間作用型または速効型インスリンのみを含むインスリンレジメン) |
・治療環境にかかわらず、高血糖管理が改善されなければ低血糖のリスクが高くなる。 ・基礎インスリンまたは長時間作用型インスリンを同時に使用せず、現在の血糖値に従って投与される短時間作用型または速効型インスリンだけを含むインスリンレジメンは避ける。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
スルホニル尿素薬(短時間作用型、長時間作用型を含むすべて) ・グリクラジド ・グリメピリド ・グリピジド ・グリブリド(グリベンクラミド) |
・スルホニル尿素薬は代替薬と比較して心血管イベント、全死亡、低血糖のリスクが高い。 ・スルホニル尿素は心血管死と虚血性脳卒中のリスクを増加させる可能性がある。 ・スルホニル尿素薬の中でも、長時間作用型薬剤(例、グリブリド、グリメピリド)は短時間作用型薬剤(例、グリピジド)よりも低血糖が長引くリスクが高い。 |
・より安全で効果的な薬剤を使用するための実質的な障壁がない限り、スルホニル尿素薬を第一選択薬または第二選択薬として使用することは避ける。 ・スルホニルウレア系薬剤を使用する場合は、長時間作用型薬剤(グリブリド、グリメピリドなど)よりも短時間作用型薬剤(グリピジドなど)を選択する。 |
低血糖症:High/Strong 心血管イベントと全死亡:Moderate/Strong 心血管死亡と虚血性脳卒中:Low/Strong |
乾燥甲状腺 |
・心臓への影響が懸念され、より安全な代替薬がある。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
メゲストロール |
・体重への影響はほとんどない。 ・高齢者では血栓イベントのリスクが高くなり、死亡リスクも高くなる。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
成長ホルモン |
・ただし、確立された病因による成長ホルモン欠乏症が厳密に診断された患者を除く。 |
High/Strong |
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消化器系 |
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・デクスランソプラゾール ・エソメプラゾール ・ランソプラゾール ・オメプラゾール ・パントプラゾール ・ラベプラゾール |
・CDI、肺炎、消化器悪性腫瘍、骨量減少、骨折のリスク。 |
・ただし、高リスクの患者(経口コルチコステロイドやNSAIDの慢性使用など)、びらん性食道炎、Barrett食道炎、病的な分泌過多状態、維持療法の必要性が証明された場合(薬剤中止試験やH2受容体拮抗薬の失敗など)は許容される。 |
CDI、骨量減少、骨折:High/Strong 肺炎と消化器悪性腫瘍:Moderate/Strong |
メトクロプラミド |
・遅発性ジスキネジアを含む錐体外路系作用を引き起こす可能性がある。特にフレイルな高齢者や長期にわたる曝露ではリスクが高くなる可能性がある。 |
・ただし、胃不全麻痺で使用期間が12週間を超えない場合は許与される。 |
Moderate/Strong |
強力な抗コリン作用を有する消化管鎮痙薬 ・アトロピン(眼科用を除く) ・クリジニウム-クロルジアゼポキシド ・ジサイクロミン ・ヒヨスチアミン ・スコポラミン |
・抗コリン作用が強く、有効性は不明。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
ミネラルオイル、経口投与 |
・誤嚥や副作用の可能性がある。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
泌尿生殖器系 |
|||
デスモプレシン |
・低ナトリウム血症のリスクが高い ・夜間頻尿に対するより安全な代替治療(非薬物療法を含む)がある。 |
・夜間頻尿や夜間多尿の治療には使用しない。 |
Moderate/Strong |
鎮痛薬 |
|||
非COX-2選択的経口NSAIDs ・アスピリン>325mg/日 ・ジクロフェナク ・ジフルニサル ・エトドラク ・フルルビプロフェン ・ケトロラク ・メロキシカム ・ナブメトン ・ナプロキセン ・オキサプロジン ・スリンダク |
・75歳を超える患者、経口または非経口のコルチコステロイド、抗凝固薬、抗血小板薬を服用している患者を含む高リスク群では、消化管出血または消化性潰瘍疾患のリスクが増加する。 ・PPIまたはミソプロストールの使用はリスクを軽減するが、リスクをなくすことはできない。 ・NSAIDsによる上部消化管潰瘍、肉眼的出血、穿孔は、3~6ヵ月間治療した患者の~1%、1年間治療した患者の~2-4%にみられる。 ・血圧を上昇させ、腎障害を誘発することもある。 ・リスクは用量に関連する。 |
・他の代替手段が有効でなく、患者が胃保護薬(PPIまたはミソプロストール)を服用できる場合を除き、慢性的な使用は避ける。 ・経口または非経口のコルチコステロイド、抗凝固薬、抗血小板薬との併用は、他の選択肢が有効でなく、患者が胃腸保護薬(プロトンポンプ阻害薬またはミソプロストール)を服用できる場合を除き、短期間の使用も避ける。 |
Moderate/Strong |
ケトロラク(経口および非経口) |
・高齢者では消化管出血/消化性潰瘍疾患および急性腎障害のリスクが増加する。 ・すべてのNSAIDsの中で、インドメタシンは中枢神経系への有害作用のリスクが高いなど、有害作用が最も高い。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
メペリジン |
・一般的に使用される用量では効果がない ・せん妄を含む神経毒性のリスクが他のオピオイドより高い可能性があり、より安全な代替薬がある。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
骨格筋弛緩薬 ・カリソプロドール ・クロルゾキサゾン ・シクロベンザプリン ・メタキサロン ・メトカルバモール ・オルフェナドリン |
・筋骨格系の不定愁訴の治療に一般的に用いられる筋弛緩薬は、抗コリン性の副作用、鎮静作用、骨折リスクの増大のため、高齢者の忍容性が低い。 ・高齢者が忍容できる用量での有効性には疑問がある。 ・この基準は、痙縮の管理に通常使用される骨格筋弛緩剤(バクロフェンやチザニジン)には適用されないが、これらの薬剤もかなりの副作用を引き起こす可能性がある。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
高齢者に疾患・病態毎に潜在的に不適切となりうる薬剤
Disease or syndrome |
Drugs |
Rationale |
Recommendation |
Quality of evidence/ Strength of recommendation |
心血管系 |
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シロスタゾール 非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(CCBs) ・ジルチアゼム ・ベラパミル ドロネダロン 非ステロイド性抗炎症薬 COX-2阻害薬 チアゾリジン系化合物 ・ピオグリタゾン |
・体液貯留を促進または心不全を悪化させる可能性(NSAIDs、COX-2阻害薬、非ジヒドロピリジン系CCB s、チアゾリジン系薬剤)。 ・心不全を有する高齢者の死亡率を増加させる可能性(シロスタゾール、ドロネダロン)。
※これは、心不全患者で避けるべき薬剤の包括的なリストではない。 |
・避けるべき:・シロスタゾール、デキストロメトルファン-キニジン ・HFrEFで避けるべき:非ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(CCBs)(ジルチアゼム、ベラパミル) ・無症状の心不全患者には慎重に使用し、有症候性心不全患者には避けるべき:ドロネダロン、非ステロイド性抗炎症薬、COX-2阻害薬、チアゾリジン系化合物(ピオグリタゾン) |
シロスタゾール、デキストロメトルファン-キニジン、COX-2阻害薬:Low/Strong 非ジヒドロピリジン系CCB、NSAIDs:Moderate/Strong ドロネダロン、チアゾリジン系化合物:High/Strong |
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失神 |
抗精神病薬(一部) ・オランザピン コリンエステラーゼ阻害薬(AChEI) ・ドネペジル ・ガランタミン ・リバスチグミン 非選択的末梢性α1遮断薬 ・ドキサゾシン ・プラゾシン ・テラゾシン 三環系抗うつ薬(TCAs) ・アミトリプチリン ・クロミプラミン ・ドキセピン ・イミプラミン |
・抗精神病薬とTCAは起立性低血圧のリスクを増加させる。
・AChEIは徐脈を引き起こすため、徐脈が原因の失神の可能性がある高齢者には避けるべきである。
・非選択的末梢α1遮断薬は起立性血圧の変化を引き起こすため、起立性低血圧が原因の失神の可能性がある高齢者には避けるべきである。 |
・避けるべき。 |
抗精神病薬、非選択的末梢性α1遮断薬:High/Weak AChEI、TCA:High/Strong |
中枢神経系 |
||||
せん妄 |
抗コリン薬(Table7参照) 副腎皮質ステロイド(経口および非経口) H2受容体拮抗薬 ・シメチジン 非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」) ・エスゾピクロン ・ザレプロン |
・せん妄を誘発または悪化させる可能性があるため、せん妄のある高齢者またはそのリスクの高い高齢者には避ける。 ・抗精神病薬:認知症やせん妄の行動問題に対しては、非薬理学的選択肢が無効または不可能であり、高齢者が自他に重大な危害を及ぼす恐れがある場合を除き、使用を避ける。使用する場合は、継続的な必要性または最低有効量を評価するために、定期的な減薬を試みることを考慮すべきである。 ・副腎皮質ステロイド:必要な場合は、可能な限り低用量を最短期間使用し、せん妄の有無を監視する。 ・オピオイド:オピオイド投与とせん妄との関連を強調する新たなデータがある。疼痛のある高齢者に対しては、有効性の確認された疼痛評価ツールの使用や、オピオイドの使用を最小限に抑えるための非薬物的アプローチを含む多剤併用戦略など、バランスの取れたアプローチを用いるべき。 |
・ただし、根拠となる記述の下に記載されている状況を除く。 |
H2受容体拮抗薬:Low/Strong
その:Moderate/Strong |
認知症または認知機能障害 |
抗コリン薬(Table7参照) 抗精神病薬(慢性使用または持続的頓用) 非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」) ・エスゾピクロン ・ザレプロン |
・中枢神経系に悪影響を及ぼすので避ける。 ・抗精神病薬:認知症患者では脳卒中のリスクが増加し、認知機能の低下と死亡率が高くなる。認知症やせん妄の行動問題に対する抗精神病薬は、非薬理学的選択肢が失敗した場合、または患者が自他に重大な危害を及ぼす恐れがある場合を除き、避ける。使用する場合は、継続的な必要性または最低有効量を評価するために、定期的な減薬を試みることを考慮すべきである。 |
・避けるべ。 |
Moderate/Strong |
転倒や骨折の既往歴 |
抗コリン薬(Table7) 抗うつ薬(一部) ・SNRI ・SSRI ・三環系抗うつ薬 (TCAs) 抗てんかん薬 非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(「Z-drugs」) ・エスゾピクロン ・ザレプロン |
・運動失調、精神運動機能低下、失神、転倒を引き起こす可能性がある。 ・抗うつ薬:転倒および骨折のリスクに関するエビデンスはまちまち。新しいエビデンスはSNRIが転倒リスクを増加させる可能性を示唆している。 ・ベンゾジアゼピン系抗不安薬:短時間作用型は長時間作用型より安全ではない。 いずれかの薬剤を使用しなければならない場合は、転倒や骨折のリスクを高める他の中枢神経系に作用する薬剤(抗コリン薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬を含む鎮静薬/催眠薬、オピオイド)の使用を減らし、転倒リスクを減らすための他の戦略を実施することを考慮する。 |
・より安全な代替品がない場合は避ける。 ・オピオイド:重度の急性疼痛時の疼痛管理以外は避ける。 |
その他:High/Strong |
制吐剤 ・メトクロプラミド ・プロメタジン 抗精神病薬(クロザピン、ピマバンセリン、クエチアピンを除く) |
・パーキンソン症状を悪化させる可能性のあるドパミン受容体拮抗薬を避ける。
|
・避けるべき |
Moderate/Strong |
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消化器系 |
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胃潰瘍または十二指腸潰瘍の既往歴 |
非COX-2選択的NSAIDs |
・既存の潰瘍を悪化させたり、新たな潰瘍を引き起こす可能性がある。 |
・他の選択肢が有効でなく、患者が胃保護薬(プロトンポンプ阻害薬やミソプロストールなど)を服用できる場合を除き、避けるべき。 |
Moderate/Strong |
腎泌尿器系 |
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女性の尿失禁(すべてのタイプ) |
非選択的末梢性α1社弾薬 ・ドキサゾシン ・プラゾシン ・テラゾシン |
・失禁の悪化(α1遮断薬)、有効性の欠如(経口エストロゲン) |
・女性の場合は避けるべき。 |
非選択的末梢性α1遮断薬:Moderate/Strong エストロゲン:High/Strong |
下部尿路症状(前立腺肥大症) |
・尿失禁に対する抗ムスカリン薬を除く、抗コリン作用の強い薬物(Table7参照) |
・尿量を減少させ、尿閉を引き起こす可能性がある。 |
・男性の場合は避ける |
Moderate/Strong |
高齢者に潜在的に不適切となりうるため、慎重に使用すべき薬剤
Drugs |
Rationale |
Recommendation |
Quality of evidence/ Strength of recommendation |
NVAFまたはVTEの長期治療薬としてのダビガトラン |
・高齢者においてNVAFまたはVTEの長期治療に使用した場合、ワルファリンと比較して消化管出血のリスクが高く、アピキサバンと比較して消化管出血および大出血のリスクが高い。 |
・NVAFまたはVTEの長期治療において、他のDOAC(例:アピキサバン)よりも、ダビガトランを選択する場合には注意が必要である。 |
Moderate/Strong |
プラスグレル チカグレロル |
・両剤とも高齢者ではクロピドグレルと比較して大出血のリスクが増加し、特に75歳以上では顕著である。 ・ただし、このリスクは一部の患者では心血管系への有益性の方が上回る可能性がある。 |
・特に75歳以上の成人には注意して使用すること。 |
Moderate/Strong |
抗うつ薬(一部) ・ミルタザピン ・SNRI ・SSRI ・TCA 抗てんかん薬(一部) ・オクスカルバゼピン 抗精神病薬 利尿剤 トラマドール |
・SIADHまたは低ナトリウム血症を悪化または引き起こす可能性がある ・高齢者で投与を開始または変更する場合は、ナトリウム値を注意深く監視すること。 |
・使用には注意が必要 |
Moderate/Strong |
・認知症の行動症状を有する患者における有効性は限定的(情動調節障害の治療には適用されない)。 ・転倒のリスクを増加させる可能性があり、臨床的に重要な薬物相互作用や心不全患者への使用に懸念がある。(Table3参照) |
・使用には注意が必要 |
Moderate/Strong |
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ST合剤 |
・ACE-I/ARB、ARNI投与中でCrClが低下している患者には慎重に使用すること。 |
Low/Strong |
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SGLT2阻害薬 ・カニグリフロジン ・ダパグリフロジン ・エンパグリフロジン ・エルツグリフロジン |
・高齢者では泌尿生殖器感染症のリスクが高まる可能性があり、特に治療開始1ヵ月の女性はその傾向が強い。 ・高齢者では、正常血糖DKAのリスクも増加している。 |
・注意して使用すること。 |
Moderate/Weak |
薬物相互作用の観点から高齢者に潜在的に不適切となりうる薬剤
Object drug or class |
Interacting drug or class |
Risk rationale |
Recommendation |
Quality of evidence/ Strength of recommendation |
別のRAS阻害薬またはカリウム保持性利尿薬 |
・高カリウム血症のリスクが高まる。 |
・CKDStage3a以上の患者では、2種類以上のRAS阻害薬、またはRAS阻害薬とカリウム保持性利尿薬のルーチンの同時使用を避ける。 |
Moderate/Strong |
|
・ガバペンチン ・プレガバリン |
・呼吸抑制や死亡を含む重篤な鎮静関連の有害事象のリスクが増加した。 |
・オピオイド療法からガバペンチンまたはプレガバリンに移行する場合、あるいはオピオイドの減量のためにガバペンチノイドを使用する場合は例外であるが、どのような状況においても注意が必要である。 |
Moderate/Strong |
|
抗コリン薬 |
抗コリン薬 |
・抗コリン作用を有する薬剤を2種類以上使用すると、認知機能の低下、せん妄、転倒や骨折のリスクが高まる。 |
・抗コリン薬は避ける、最小限にする(Table7参照)。 |
Moderate/Strong |
・抗てんかん薬(ガバペンチノイドを含む) ・抗精神病薬 ・非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬(すなわち「Z-drugs」) ・骨格筋弛緩薬 |
これらの中枢神経系に作用する薬剤のうち3種類以上の組み合わせ |
・3種類以上の中枢神経系作用薬(ガバペンチノイドを含む抗てんかん薬、抗うつ薬、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、非ベンゾジアゼピン系ベンゾジアゼピン受容体作動性催眠薬、オピオイド、骨格筋弛緩薬)の併用により転倒および骨折のリスクが増加する。 |
・3種類以上の中枢神経系に作用する薬剤(左記の種類のうち)の同時使用を避け、中枢神経系に作用する薬剤の数を最小限にする。 |
High/Strong |
リチウム |
ACE-I/ARB ARNI |
・リチウム中毒のリスクが高まる |
・避けるべき。 ・リチウム濃度をmonitorする。 |
Moderate/Strong |
リチウム |
ループ利尿薬 |
・リチウム中毒のリスクが高まる |
・避けるべき。 ・リチウム濃度をmonitorする。 |
Moderate/Strong |
非選択的末梢性α1遮断薬 |
ループ利尿薬 |
・高齢女性における尿失禁リスクの増加。 |
・高齢の女性では、両薬剤を必要とする状況でない限り避ける。 |
Moderate/Strong |
フェニトイン |
ST合剤 |
・フェニトイン中毒のリスク増大。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
テオフィリン |
シメチジン |
・テオフィリン中毒のリスク増大。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
テオフィリン |
シプロフロキサシン |
・テオフィリン中毒のリスク増大。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
ワルファリン |
アミオダロン シプロフロキサシン マクロライド系薬剤(アジスロマイシンを除く) ST合剤 |
・出血のリスクが高まる。 |
・可能な限り避ける。 ・併用する場合は、INRを注意深くモニターする。 |
Moderate/Strong |
高齢者への使用で、腎機能障害のため中止または減量が必要な薬剤
Drug |
CrCl (mL/min) at which action is required |
Rationale |
Recommendation |
Quality of evidence/ Strength of recommendation |
抗感染症薬 |
||||
シプロフロキサシン |
<30 |
・中枢神経系への影響(痙攣、錯乱など)や腱断裂のリスクが高まる。 |
・CrClが30mL/分未満の場合に減量が必要である。 |
Moderate/Strong |
ニトロフラントイン |
<30 |
・特に長期使用により、肺毒性、肝毒性、末梢神経障害の可能性がある。 |
・CrCl <30 mL/分の場合は避ける。 |
Low/Strong |
ST合剤 |
<30 |
・腎機能悪化および高カリウム血症のリスクが増大する |
・CrClが15~29mL/分の場合は投与量を減らす。 ・CrClが15mL/分未満の場合は避ける。 |
Moderate/Strong |
心血管、抗血栓薬 |
||||
アミロリド |
<30 |
・高カリウム血症および低ナトリウム血症のリスクがある |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
ダビガトラン |
<30 |
・CrClが30mL/分未満の患者における有効性および安全性に関するエビデンスが不足している。 ・CrCl 15~30 mL/minの用量表示は、薬物動態データに基づく。 |
・CrClが30mL/分未満の場合は避ける。 ・薬物相互作用がありCrClが30mL/分以上の場合は用量調節が勧められる。 |
Moderate/Strong |
ドフェチリド |
<60 |
・QTc延長とtorsades de pointesのリスクがある。 |
・CrClが20~59mL/分の場合は投与量を減らす。 ・CrClが20mL/分未満の場合は避ける |
Moderate/Strong |
エドキサバン |
15-50 <15 または > 95 |
・CrClが30mL/min未満の患者における有効性または安全性のエビデンスを欠く。 |
・CrClが15~50mL/分の場合は投与量を減らす。 ・CrClが15未満または95mL/分以上の場合は避ける。 |
Moderate/Strong |
エノキサパリン |
<30 |
・出血リスクの増大 |
・投与量を減らす。 |
Moderate/Strong |
フォンダパリヌクス |
<30 |
・出血リスクの増大 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
リバーロキサバン |
<50 |
・CrClが15mL/分未満の患者における有効性または安全性のエビデンスは乏しく、CrClが15~30mL/分の患者におけるエビデンスは限られている。 |
・CrClが15mL/分未満の場合は避ける。 ・CrClが15~50mL/minの場合は、適応症に応じた投与量に基づき、メーカーが推奨する投与量に従って投与量を減らす。 |
Moderate/Strong |
<30 |
高カリウム血症 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
|
トリアムテレン |
<30 |
高カリウム血症および低ナトリウム血症 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
中枢神経系、鎮痛薬 |
||||
バクロフェン |
eGFR60未満 |
・eGFRが60mL/分未満の高齢者または慢性透析を必要とする高齢者では、入院を要する脳症のリスクが増加する。 |
・腎機能障害のある高齢者(eGFR<60mL/分)では、バクロフェンの投与を避ける。 ・バクロフェンを避けることができない場合は、最低有効量を使用し、精神状態の変化などの中枢神経系毒性の徴候がないかmonitorする。 |
Moderate/Strong |
デュロキセチン |
<30 |
・消化器系の副作用の増加(吐き気、下痢) |
・避けるべき。 |
Moderate/Weak |
ガバペンチン |
<60 |
・中枢神経系への悪影響 |
・投与量を減らす。 |
Moderate/Strong |
レベチラセタム |
≤80 |
・中枢神経系への悪影響 |
・投与量を減らす。 |
Moderate/Strong |
NSAIDs(非選択的、COX-2選択的、非アセチル化サリチル酸塩、経口および非経口 |
< 30 |
・急性腎障害のリスクを高め、腎機能をさらに低下させる可能性がある。 |
・避けるべき. |
Moderate/Strong |
プレガバリン |
<60 |
・中枢神経系への悪影響 |
・投与量を減らすべき。 |
Moderate/Strong |
トラマドール |
<30 |
・中枢神経系への悪影響 |
・Immediate release:投与量を減らす。 ・Extended-release::避ける。 |
Low/Weak |
消化器系 |
||||
シメチジン |
<50 |
・精神状態の変化 |
・投与量を減らすべき。 |
Moderate/Strong |
<50 |
・精神状態の変化 |
・投与量を減らすべき。 |
Moderate/Strong |
|
<50 |
・精神状態の変化 |
・投与量を減らすべき。 |
Moderate/Strong |
|
コルヒチン |
<30 |
・消化器、神経筋、骨髄毒性。 |
・投与量を減らすべき。 ・副作用をmonitorする |
Moderate/Strong |
プロベネシド |
<30 |
・有効性がない。 |
・避けるべき。 |
Moderate/Strong |
強い抗コリン作用を有する薬剤
強い抗コリン作用を有する薬物 |
抗うつ薬 ・アミトリプチリン ・クロミプラミン ・デシプラミン ・ドキセピン(6mg/日超) ・イミプラミン ・ノルトリプチリン |
制吐剤 ・プロメタジン |
抗ヒスタミン薬(第一世代) ・ブロムフェニラミン ・クロルフェニラミン ・シプロヘプタジン ・ジメンヒドリナート ・ドキシラミン ・ヒドロキシジン ・メクリジン ・プロメタジン ・トリプロリジン |
抗ムスカリン薬 ・ダリフェナシン ・フェソテロジン ・フラボキサート ・オキシブチニン ・ソリフェナシン ・トルテロジン ・トロスピウム |
抗パーキンソン病薬 ・ベンズトロピン ・トリヘキシフェニジル |
抗精神病薬 ・クロザピン ・オランザピン |
鎮痙薬 ・アトロピン ・クリジニウム-クロルジアゼポキシド ・ジサイクロミン ・ホマトロピン ・ヒヨスチアミン ・スコポラミン |
骨格筋弛緩薬 ・シクロベンザプリン ・オルフェナドリン |
2019年のCriteriaから除外された薬剤
Medication/Criterion |
Reason for removal |
診断や病態に依存しない(Table2) |
|
カルビノキサミン |
使用頻度が低い |
クレマスチン |
使用頻度が低い |
デキストロブロムフィニラミン |
米国市場にはない |
デキスクロルフェニラミン |
使用頻度が低い |
ピリラミン |
米国市場にはない |
米国市場にはない |
|
メスコポラミン |
使用頻度が低い |
プロパンテリン |
米国市場にはない |
グアナベンズ |
米国市場にはない |
メチルドパ |
米国市場にはない |
レセルピン(0.1mg/日を超える) |
米国市場にはない |
ジソピラミド |
使用頻度が低い |
プロトリプチリン |
使用頻度が低い |
トリミプラミン |
使用頻度が低い |
使用量が少なく、注射薬としてのみ入手可能 |
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ブトバルビタール |
使用頻度が低い |
メフォバルビタール |
米国市場にはない |
米国市場にはない |
|
米国市場にはない |
|
フルラゼパム |
使用頻度が低い |
クアゼパム |
使用頻度が低い |
イソクスプリン |
米国市場にはない |
クロルプロパミド |
米国市場にはない |
フェノプロフェン |
使用頻度が低い |
ケトプロフェン |
使用頻度が低い |
メクロフェナマート |
使用頻度が低い |
メフェナム酸 |
使用頻度が低い |
トルメチン |
米国市場にはない |
疾患と症候群の相互作用を考慮する(Table3) |
|
ロシグリタゾン |
米国市場にはない |
失神 |
|
使用頻度が低い |
|
せん妄 |
|
メペリジン |
メペリジンに関する具体的な言及は、本基準に追加されたオピオイドの一般的なカテゴリーに含まれるため、本基準から削除された。 |
ラニチジン |
米国市場から撤退した。 |
臨床的に重要な薬物-薬物相互作用(Table5) |
|
コルチコステロイド(経口または非経口)+NSAIDs |
Table2の経口非ステロイド性抗炎症薬投与基準に組み込まれた。 |
ワルファリン+非ステロイド性抗炎症薬 |
Table2の経口NSAID基準(すなわち、抗凝固薬を服用している高齢者では、NSAIDの短期間の定期的、予定された使用を避けるよう推奨)に組み込まれた。 |
腎機能が低下している場合に使用を避けるか、量を減らすべき薬(Table6) |
|
CrCl<25mL/minの患者におけるアピキサバン |
腎機能低下時の安全使用を支持する新たなエビデンスと臨床経験 |
ラニチジン |
米国市場から撤退 |
抗コリン作用の強い薬物(Table7) |
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ロキサピン |
使用頻度が低い |
2019年のCriteriaから追加された薬剤
Medication/Criterion |
Reason for addition |
診断や病態に依存しない(Table2) |
|
ワルファリン |
新たなデータと国家勧告/専門家ガイダンスの変更 |
疾患と症候群の相互作用を考慮する(Table3) |
|
添付文書によるサポート |
|
せん妄 |
|
新たなデータ |
|
転倒または骨折の既往歴 |
|
抗コリン薬 |
新たなデータと提言の一貫性 |
注意して使用すること(Table4) |
|
チカグレロル |
新たなデータ |
SGLT2阻害薬 |
新たなデータと臨床上の懸念 |
臨床的に重要な薬物-薬物相互作用(Table5) |
|
骨格筋弛緩薬に中枢神経系に作用する薬剤を3種類以上併用する |
他の中枢神経系作用薬との併用による副作用の懸念 |
リチウム+ARB/ARNI |
データと参考資料による裏付け |
ワルファリン+SSRI |
データによる裏付け |
腎機能が低下している場合に使用を避けるか、量を減らすべき薬(Table6) |
|
バクロフェン |
懸念を裏付けるデータ |
2019年のCriteriaから修正された薬剤
Medication/Criterion |
Modification |
診断や病態に依存しない(Table2) |
|
新しいエビデンスに基づき、Table4からTable2に移動。 |
|
リバーロキサバン |
エビデンスの蓄積に基づき、Table4からTable2に移動 |
ドロネダロン |
|
抗コリン作用の強い抗うつ薬 |
強い抗コリン作用を有する抗うつ薬を明確にした。 |
新しいエビデンスを反映させ、より明確にするために文言を更新した。 |
|
文言の明確化をした。 |
|
アンドロゲン |
|
エストロゲン、全身投与 |
データに裏付けられた情報を追加した。 |
スルホニル尿素 |
すべてのスルホニル尿素薬の有害転帰を支持するデータがあることから、基準を長時間作用型スルホニル尿素薬からすべてのスルホニル尿素薬に拡大した。 |
根拠となるデータが示され、さらに有害転帰が追加された。 |
|
非ステロイド性抗炎症薬、経口剤 |
短期使用のハイリスクシナリオにおける適用の明確化 (ワルファリンとのような薬物-薬物相互作用を含む) |
骨格筋弛緩薬 |
一般的に筋骨格系の訴えに使用される骨格筋弛緩剤と痙縮の治療に使用される骨格筋弛緩剤を区別するため、文言を明確にした。 |
疾患と症候群の相互作用を考慮する(Table3) |
|
失神 |
|
TCA ・アミトリプチリン ・クロミプラミン ・ドキセピン ・イミプラミン |
この基準で言及されているTCAには、ここに列挙されているものが含まれることを明確にした。 |
抗精神病薬 |
データを反映させ、より明確にするために文言を修正した。 |
せん妄 |
オピオイドに関するコメントの根拠を更新し、より明確にした。 |
転倒または骨折の既往歴 |
|
抗うつ薬 |
|
根拠を明確にするために短くした。 |
|
女性の尿失禁 |
明瞭性を高めるために文言を修正した。 |
注意して使用すること(Table4) |
|
プラスグレル |
American College of Cardiology/American Heart Associationのガイドラインで支持されている投与量の検討を加えた。 |
心不全に関する懸念が追加され、添付文書で裏付けられた。 |
|
ST合剤 |
完全性を期すため、ARNIを追加した(ARBを含むことを考慮)。 |
臨床的に重要な薬物-薬物相互作用(Table5) |
|
副作用のリスクを含めるように修正した。 |
|
抗コリン薬+抗コリン薬 |
特定の有害事象を認識するために修正した。 |
3種類以上の中枢神経系作用薬の使用 |
懸念される医薬品の分類を明確にし、エビデンスレベルを high に引き上げた。 |
ワルファリン |
相互作用のある医薬品をリストに統合した。 |
腎機能が低下している場合に使用を避けるか、量を減らすべき薬(Table6) |
|
ニトロフラントイン |
Table2の既存の推奨事項は、わかりやすさと使いやすさを高めるため、Table6に重複して記載されている。 |
ST合剤 |
臨床での使いやすさをサポートするため、明確な文言を追加した。 |
リバーロキサバン |
入手可能なエビデンスと添付文書に従ってCrClのカットオフ値を明確にした。 |
非ステロイド性抗炎症薬 |
より一貫性を持たせるため、この基準をTable3から移動し、文言を明確にした。 |