地方内科医の日日是好日

地方中規模病院内科医の日々の診療記録

20230824:AmpCって何でしたっけ?

E .cloacaeが喀痰培養陽性となり、感受性結果から抗生剤選択でCTRXでもいいのではないかと議論になりました。

 

研修医の先生「今の話ってAmpCでしたっけ?」

 

私「そう、Serratia,Citrobacter,Enterobacterあたりで臨床的には考えることが多くて、感受性があって軽症ならCTRXでも良いかもしれないけど、基本的にはCFPMが1stかな」

 

と偉そうなことを言っておきながら、適当なことを言ってないか心配になったので勉強して見ました。

 

今回もIDSAの治療ガイダンスを見てみましょう。

※以前のS.maltophiliaの記事はこちら

tknk830.hatenablog.com

 

https://doi.org/10.1093/cid/ciad428

使用薬剤の用量はこちら!

 

AmpCについて

・AmpCはβ-ラクタマーゼであり、多くのEnterobacterales属やブドウ糖非発酵グラム陰性菌によって基礎レベルで産生される。主な機能は、細胞壁のリサイクルを補助すること。
・EnterobacteralesによるAmpC産生の増加は、一般的に次の3つのメカニズムのいずれかによって起こる
(1)染色体遺伝子の誘導性発現(誘導型AmpC βラクタマーゼ)

・βラクタム系抗菌薬に暴露されると遺伝子による調節が変化し酵素が多量に産生される
(2)染色体遺伝子の安定的脱抑制(抑制解除型AmpC βラクタマーゼ)

酵素産生を抑制している遺伝子そのものが変異するため、抗菌薬の有無に関わらず酵素が多量に賛成される
(3)変異遺伝子がプラスミド上に産生される(プラスミド型AmpC βラクタマーゼ)

・変異遺伝子がプラスミドによって他の細菌に伝播し、酵素が過剰に産生される


※本書では、誘導性ampC遺伝子発現の可能性が高いEnterobacterales属による感染症の治療に焦点を当てる。 

 

誘導型AmpC βラクタマーゼ

・誘導性ampC発現によるAmpC酵素産生の増加は、特定の抗生物質の存在下で起こり、特定の抗生物質、特にセフトリアキソン、セフォタキシム、セフタジジムに対するMICが上昇する。
・このような場合、当初はセフトリアキソンに感受性であったEnterobacterales属の分離株が、セフトリアキソンによる治療を開始した後、この薬剤に対して非感受性を示すことがある。本書では、このような菌は臨床的に重要なAmpC産生のリスクが中等度から高度と説明している。
・AmpC誘導による耐性は、セフトリアキソン、セフォタキシム、またはセフタジジムを数回投与した後でも観察されることがある 。

 

抑制解除型AmpC βラクタマーゼ/プラスミド型AmpC βラクタマーゼ

・これらのメカニズムではAmpC産生は常に増加しているため、、セフトリアキソン、セフォタキシム、および/またはセフタジジムに対しては基本的に非感受性であると予想される。そのため、臨床的には悩むことは少ない。

・プラスミド型AmpC βラクタマーゼはE.coli、K.pneumoniaeサルモネラで拡散が確認されている

 

 

Q1: 誘導性AmpC遺伝子により臨床的に重大なAmpC産生を起こすリスクが中程度から高度と考えられる腸内細菌はどれか?

A:Enterobacter cloacae complex、Klebsiella aerogenes、Citrobacter freundiiは、臨床的に重大なAmpC産生の中等度から高度のリスクを有する最も一般的な腸内細菌である。

解説:

・SPACE、SPICE、ESCPMなど、AmpC産生のリスクがある生物を示すために一般的に使用されている略語は、グラム陰性菌間のAmpC誘導能の幅の広さを不明瞭にしており適さない。(例:Citrobacter freundiiは染色体上のampCを保有しているが、Citrobacter koseriは保有していない)

抗生物質治療中に臨床的に重要なAmpC発現が誘導されるのは、E. cloacae complex(以下、E. cloacaeと簡略)、K. aerogenes(旧Enterobacter aerogenes)、C. freundiiで最も報告されている。

・臨床報告によると、セフトリアキソンのような薬剤に曝露した後に耐性菌が出現するのは、これらの菌による感染症約20%であることが示唆されている 。これらの臨床的観察結果は、in vitroでの突然変異率解析と同様であり、これらの菌がampCを過剰発現する可能性が高いことも示唆している。

・AmpC誘導による耐性は、セフトリアキソン、セフォタキシム、またはセフタジジムを数回投与した後でも観察されることがある 。

E. cloacae、K. aerogenes、C. freundiiが培養で陽性となった場合、最初にこれらの薬剤に感受性であったとしても、セフトリアキソンまたはセフタジジムによる治療を避けることが推奨される(合併症のない膀胱炎における尿培養を除く)。(詳細はQ2)

・上記とは対照的に、Serratia marcescens、Morganella morganii、Providencia spp.など、歴史的に臨床的に重要なAmpC発現のリスクがあると推定されてきた細菌は、in vitroと臨床報告の両方に基づいて、AmpCを過剰発現する可能性は低い(5%未満)。そのため、培養陽性となったら感受性結果に従い抗生剤選択を行うべき(例:セフトリアキソンに感受性があればセフトリアキソンを投与する)。ただし、細菌負荷が高く、感染源の制御が限られている場合(心内膜炎、中枢神経系感染症など)には、セフトリアキソンに感受性がある場合でも、セフトリアキソンの代わりにセフェピムによる治療を考慮することも合理的。

・その他、Hafnia alvei、Citrobacter youngae、Yersinia enterocoliticaなど誘導性染色体ampC遺伝子を持つがあまり一般的ではない細菌に対する研究は研究が少ない。そのため、培養陽性となったら感受性結果に従い抗生剤選択を行うことが妥当であると考えられる。

 

Q2: 誘導性AmpC遺伝子により臨床的に重要なAmpC産生を起こすリスクが中等度から高度な細菌による感染症に対する抗生物質を選択する際、どのような特徴を考慮すべきか?
A:いくつかのβ-ラクタム系抗生物質はampC遺伝子を誘導するリスクが比較的高い。AmpC遺伝子を誘導する能力とAmpCの分解に耐える能力の両方が抗生物質の意思決定に役立つ。

解説:

・β-ラクタム系抗生物質は、ampC遺伝子を誘導する可能性があり、特にアミノペニシリン系(AMPC、ABPC、第1世代セフェム(CEX、CEZ)、セファマイシン系(CMZ)は強力なAmpC誘導物質。

※臨床的に重大なampC誘導のリスクが中程度から高度な細菌(例:Enterobacter cloacae)は、抑制解除型AmpC βラクタマーゼ/プラスミド型AmpC βラクタマーゼも有しうるため、そのようば場合には一般的にこれらの薬剤に対して非感受性と判定され、治療のジレンマは生じない。
・イミペネムも強力なAmpC誘導剤であるが、安定なアシル酵素複合体を形成するため、一般にAmpC-Eの加水分解に対して安定。
・エルタペネムメロペネムのAmpC誘導能は研究が不足しているが、イミペネムと同様に、これらは一般的にAmpCの分解に対して安定 。
ピペラシリン-タゾバクタム、セフトリアキソン、セフタジジム、アズトレオナムは、AmpCの誘導を限定的にしか行わないが、、これらの薬剤はAmpCによる分解を受けやすいため、臨床的に重大なAmpC産生のリスクが中等度から高度の細菌による感染症の治療に有効であるとは考えにくい。

セフェピムには、AmpCを限定的に誘導するが、安定したアシル酵素複合体を形成するため、AmpCβ-ラクタマーゼによる分解に耐えうる。そのため、セフェピムは一般的にAmpC感染症の治療に有効な薬剤。

TMP-SMX、フルオロキノロン、アミノグリコシド、テトラサイクリン、その他の非β-ラクタム系抗生物質は、AmpCを誘導せず、AmpCによる分解も起こらない。

 

Q3: 誘導性AmpC遺伝子により臨床的に重要なAmpC産生を示す中等度から高リスクのEnterobacteralesによる感染症に対するセフェピムの役割は?
A:有意なAmpC産生のリスクが中等度から高度の細菌(E. cloacae complex、K. aerogenes、C. freundii)による感染症の治療にはセフェピムが推奨される。限られたデータではあるが、セフェピムのMICが4μg/mL以上の場合、カルバペネム感受性が証明されれば、ESBL産生が存在する可能性があるため、これらの菌による感染症にはカルバペネム系抗菌薬が望ましいと考えられるが、さらなる研究が必要となる。

根拠:

・セフェピムはAmpCに対して比較的安定であり、AmpC誘導能も低く、明確な文献的な治療失敗の報告がなく(いくつかの治療失敗の報告に対する解釈は下記)、E. cloacae、K. aerogenes、C. freundii感染症に対する治療選択肢としてセフェピムが推奨される。

※AmpC感染症に対するセフェピムの治療失敗の症例報告がいくつかあるが、これらの症例報告におけるセフェピムの臨床失敗へのAmpC産生の寄与を理解することは困難。(セフェピムが(8時間ごとではなく)12時間ごとに投与されていたこと、ESBL共産生がほとんど調査されていないこと、カルバペネムMICも上昇していること(すなわち、カルバペネム耐性Enterobacterales)などがセフェピムの治療失敗の一因となっている可能性がある。)

・MICに注意:セフェピムMICが4~8μg/mL(容量依存性感受性:SDD)のエンテロバクター属分離株は、セフェピムMICが低い分離株と比較して、ESBLを共産生する可能性が高いかもしれない:台湾のある研究では、セフェピムMICが4~8μg/mLのE. cloacae分離株の89%がESBL産生株であった  。また、E. cloacae血流感染症患者217人を評価したところ、セフェピムMICが4~8μg/mLのESBL産生分離株による感染症で、セフェピムを投与された患者10人全員が30日以内に死亡した。対照的に、MICが4~8μg/mLの非ESBL産生性セフェピム分離株による感染症でセフェピムを投与された6人の患者は、いずれも30日以内に死亡しなかった。米国の小規模単施設研究でも、E. cloacaeではセフェピムのMICが上昇するにつれてESBL産生の可能性が高まることが示唆されている。

E. cloacae、K. aerogenes、C. freundiiによる感染症で、セフェピムのMICが4~8μg/mL(SDD)である場合には、セフェピムの投与時にESBL共産生に注意することが推奨される。

※SDD:susceptible dose dependent 用量依存性感受性

・薬剤投与量を増加することで臨床効果が期待できる薬剤感受性結果(腸内細菌科細菌に対するCFPM、Candidaに対するFLCZとITCZなどが挙げられる)

・CFPMの場合はMIC4-8mg/dLのときに2gq8hの投与が推奨される

参考)ANTAA 薬剤感受性試験の読み方(ID-Gym2020~感染症治療のイロハ~ vol.2)

slide.antaa.jp

※E.cloacae AmpC+ESBL産生株の場合、CLSI法で推奨されているDouble Disk法ではESBLが偽陰性となり、Double Disk Synergy法で尚且つ CVA/AMPCとCFPMの距離を短くすることで間に阻害帯が出現しESBLが検出検出できるようになる

参考)グラム染色道場https://twitter.com/ugougoy/status/1693828081147142386?s=12&t=Mt3xbByOhyjVdVyNSA7fXQ

 

 

 

Q4:誘導性AmpC遺伝子により臨床的に重要なAmpC産生が中等度から高リスクのEnterobacteralesによる感染症の治療におけるセフトリアキソンの役割は?
A:セフトリアキソン(またはセフォタキシム、セフタジジム)は、臨床的に重要なAmpC産生の中等度から高度のリスクを有する細菌(例:E. cloacae complex、K. aerogenes、C. freundii)による侵襲性感染症の治療には推奨されない。セフトリアキソンは、感受性が証明された場合、これらの菌による合併症のない膀胱炎に対しては妥当と考えられる。

根拠:

・E. cloacae、K. aerogenes、C. freundiiによる感染症の約20%でセフトリアキソン曝露後に耐性菌が出現することが示唆されている。

※AmpC産生菌と推定される感染症の管理を対象とした有効性の比較研究は、臨床転帰よりもむしろセフトリアキソン耐性の出現に焦点を当てたものがほとんどであり、臨床試験では、セフトリアキソンとセフェピムで、AmpC-E産生感染症の臨床転帰を比較した研究はない。

E. cloacae、K. aerogenes、C. freundiiによる感染症を治療する際には、一般的にセフトリアキソン(またはセフタジジム)を避けることが推奨される。ただし、合併症のない膀胱炎は軽症であり、セフトリアキソンの尿中排泄も十分であることから、セフトリアキソンはAmpC産生菌による膀胱炎の管理に十分な治療薬であると考えられる。

 

Q5:誘導性AmpC遺伝子により臨床的に重要なAmpC産生を示す中等度から高リスクのEnterobacteralesによる感染症の治療におけるピペラシリン/タゾバクタムの役割は?
A:ピペラシリン/タゾバクタムは、臨床的に重要なな誘導性AmpC産生の中等度から高度のリスクを有するエンテロバクター属による重篤感染症の治療には推奨されない。

根拠:

・タゾバクタムは、新規β-ラクタマーゼ阻害薬と比較して、AmpCによる分解からβ-ラクタムを保護する効果が低く、ピペラシリン-タゾバクタムの役割は、依然として不明。
※2019年のメタアナリシスでは、8件の観察研究が要約され、エンテロバクター属、シトロバクター属、セラチア属による菌血症に対してピペラシリン-タゾバクタムおよびカルバペネム系抗菌薬で治療された患者間の死亡率の差は同定されなかった が、 研究間の有意な不均一性および適応による交絡が存在する可能性が高いと考えられた(重症患者はカルバペネム系抗菌薬を処方される可能性が高い)。また、このメタアナリシスに含まれる2件の観察研究では、ピペラシリン-タゾバクタムで治療された患者の30日死亡率は、カルバペネム系薬で治療された患者よりも数値的には高く(それぞれ15%[6/41人]対7%[3/41人] [177人]、45%[10/22人]対11%[5/45人])、メタアナリシスの後に発表された103人の患者を対象とした観察研究では、ピペラシリン-タゾバクタム単剤療法は、代替薬と比較して、30日以内に死亡する確率が2倍以上であった。

⇨in vitroでピペラシリンをAmpCの分解から保護するタゾバクタムの能力が限定的であること、ピペラシリン-タゾバクタムを処方された患者における死亡率の増加が少なくとも3件の観察研究で確認されていることを考慮すると、AmpCによる重篤感染症にピペラシリン-タゾバクタムを処方する場合は注意することが推奨される。ピペラシリン-タゾバクタムは、合併症のない膀胱炎のような軽度の感染症に対しては、妥当な治療選択肢となりうる。

 

Q6:誘導性AmpC遺伝子により臨床的に重大なAmpC産生を起こすリスクが中等度から高度のエンテロバクター属菌による感染症の治療において、β-ラクタム/β-ラクタマーゼ阻害薬の併用療法とセフィデロコルはどのような役割か?
A:セフタジジム/アビバクタム、メロペネム/バボルバクタム、イミペネム/シラスタチン/レバクタム、セフィデロコルをカルバペネム耐性を示す菌による感染症の治療に優先的に使用することは提案される。セフトロザン/タゾバクタムをAmpC感染症の治療選択肢として使用することは、多菌感染症を除いては推奨しない。

根拠:

・セフタジジム/アビバクタム、メロペネム/バボルバクタム、イミペネム/シラスタチン/レレバクタムは、一般にAmpCに対してin vitroで活性を示す 。セフタジジム/アビバクタムは、AmpCによる感染症の治療薬として有効であると考えられるが、ESBL感染症に比べ、AmpC-E感染症の治療に対する失敗率がやや高い可能性を示唆するデータもある。頻度は不明であるが、セフタジジム/アビバクタムに対するAmpCの耐性出現が報告されている。

・セフィデロコルはAmpCに対してin vitroで活性を示し、臨床現場でも有効であると考えられるが、AmpCが本剤に耐性を獲得する可能性を示す症例報告もある。

セフタジジム/アビバクタム、メロペネム/バボルバクタム、イミペネム/シラスタチン/レバクタム、セフィデロコルは、AmpC感染症に有効であると考えられるが、これらの薬剤の必要性が高い場合は、カルバペネム耐性を示す菌による感染症の治療に優先的に使用することが提案される。

・タゾバクタムは、アビバクタム、レリバクタム、バボルバクタムなどの新規β-ラクタマーゼ阻害剤と比較して、AmpCの分解からβ-ラクタムを保護する効果は低いようである。セフトロザン/タゾバクタムがAmpCに対して活性を有することを示唆するin vitroデータもあるが、少なくともある調査では、この薬剤はE. cloacae分離株のわずか19%に対してしか活性を示さなかった。AmpC感染症の治療におけるセフトロザン/タゾバクタムの臨床転帰データは限られている。

⇨Q5の通りタゾバクタムの懸念と、臨床的に重要なAmpC産生のリスクが中等度から高度のEnterobacteralesに対するセフトロザンの独立した活性が不明であることを考慮AmpC感染症の治療選択肢としてセフトロザン・タゾバクタムの使用を推奨しない。難治耐性緑膿菌とAmpCが分離された多菌感染症では、多剤併用とそれに伴う害を制限するため、セフトロザン/タゾバクタムの使用を考慮することができるが、注意が必要である。

 

Q7:誘導性AmpC遺伝子により臨床的に重要なAmpC産生を示す中等度から高リスクのエンテロバクター属による感染症の治療における非β-ラクタム療法の役割は?
A:合併症のないAmpC膀胱炎に対しては、ニトロフラントインまたはTMP-SMXが好ましい治療選択肢である。AmpCによる合併症のない膀胱炎、腎盂腎炎、複雑性UTIに対しては、アミノグリコシドが代替治療となる。TMP-SMXまたはフルオロキノロン系抗菌薬は、臨床的に重要なAmpC産生のリスクが中等度から高度の菌による侵襲性感染症の治療に考慮できる。

根拠:

・AmpCを産生する単純性膀胱炎に対する好ましい治療選択肢には、ニトロフラントインまたはTMP-SMXがあり、シプロフロキサシンまたはレボフロキサシン、アミノグリコシドの単回静脈内投与が代替の治療選択肢となる。

・尿路以外のAmpC感染症の治療におけるTMP-SMXやフルオロキノロンの役割は、臨床試験や信頼性の高い観察研究において正式に評価されていない。しかし、TMP-SMXもフルオロキノロンもAmpCの分解基質ではない。TMP-SMXまたはフルオロキノロン系抗菌薬による経口ステップダウン療法は、適切な臨床的ステップが達成された後、AmpCに起因するものを含むEnterobacterales属の血流感染症に対する妥当な治療法であることが示されている。
経口TMP-SMXおよびフルオロキノロンの既知のバイオアベイラビリティと持続的な血清中濃度に基づき、(1)適切な経口薬に対する感受性が証明され、(2)患者が血行動態的に安定しており、(3)適切な感染源対策が実施され、(4)不十分な腸管吸収に関する懸念がない場合、これらの薬剤はAmpC-E感染症患者の治療選択肢となる。
・AmpC血流感染症に対するニトロフラントイン、ホスホマイシン、ドキシサイクリン、アモキシシリン/クラブラン酸塩への経口ステップダウンは避けるよう提案される。

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勉強になりました。

 

やや適当なことを言っていましたので、謝ってこの後訂正しておきます。個人的に考え方が変わった、整理できた点は以下です。

 

・SPACEなどで括らず、AmpC誘導リスクの高い細菌(Enterobacter cloacae complex、Klebsiella aerogenes、Citrobacter freundii)と低い細菌(Serratia marcescens、Morganella morganii、Providencia spp.)、不明で稀な細菌(Hafnia alvei、Citrobacter youngae、Yersinia enterocolitica)に分ける

・AmpC誘導による耐性は、セフトリアキソン、セフォタキシム、またはセフタジジムを数回投与した後でも観察されることがあるため、軽症だからということではなく、感受性が良好でも基本的には上記リスクの高い細菌には使用を控える(単純性膀胱炎は除く)

・E. cloacae、K. aerogenes、C. freundiiによる感染症で、セフェピムのMICが4~8μg/mL(SDD)である場合には、セフェピムの投与時にESBL共産生に注意することが推奨され、CLSI法で推奨されているDouble Disk法ではESBLが偽陰性となり、Double Disk Synergy法で尚且つ CVA/AMPCとCFPMの距離を短くすることで間に阻害帯が出現しESBLが検出検出できるようになるため細菌検査室と相談する

・(1)適切な経口薬に対する感受性が証明され(2)患者が血行動態的に安定しており(3)適切な感染源対策が実施され(4)不十分な腸管吸収に関する懸念がない場合、ST合剤、フルオロキノロン系はAmpC-E感染症患者の治療選択肢となる。