新生児に対するエコーで特有のものが頭部エコーです。備忘録的にまとめます。
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参考文献
・NICUベッドサイドの診断と治療
・超音波医学(1346-1176)37巻3号 Page309-316(2010.05)
目的
①先天性奇形のスクリーニング
②脳室周囲白質軟化症・脳室内出血の診断、出血後水頭症のフォロー
③新生児仮死児の脳血流、脳浮腫評価
対象
・全例入院時
・極低出生体重児、人口換気施行中の児は生後1週まで毎日行なう、その後は週に1回
アプローチ方法
①冠状断アプローチ
腹側⇨背側にかけて以下の順に見ていく
・C1側脳室前角断層面
矢状断アプローチ
正中⇨左右外側にかけて見ていく
・S1正中矢状断:透明中隔腔とVega腔の上に脳梁が弓状に見える、その下に第三脳室の第四脳室が連続していて、その前方に橋、後方に小脳が見える
・S3外側矢状断:側脳室の全体像が見える、脈絡叢が前頭側から後尾側にかけて幅広く弧を描くように広がる
評価項目
・頭蓋内出血:早産児では上衣下胚層出血、脈絡叢出血が多い
・脳室周囲白質軟化症(PVL):脳室周囲高エコー域(PVE)とcystic PVLを評価
・先天奇形:脳室拡大、脳梁欠損(特に後方)、滑脳症(脳回や脳溝が見られない)、石灰化(トキソプラズマでは散在性、サイトメガロでは脳室周囲に高輝度エコー)
・脳血流:前大脳動脈の流速からresistant index(RI)を計算(収縮期-拡張期/収縮期)、正常値は0.6-0.85
※臓器血流としては他に腎動脈、SMAのRIを評価する
異常画像
・脳室内出血
・PVL
・脳梁欠損
・キアリ奇形
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ルーチンで毎日やることですが、出血やPVLは慣れないと難しい事も多いです。患児がなんだか具合が悪そうな時、apneaがある時などは閾値低く頭部エコーを行います。また血圧が低い時などは腎動脈、SMAと合わせてACAの評価を行い、それにより補液量を決めています。普通に内科をしているとやらない手技ですが、脳の解剖もはっきりわかり、とても有意義です。皆さんも機会があればぜひ!
今日はこの辺で失礼します。