地方内科医の日日是好日

地方中規模病院内科医の日々の診療記録

20230531 JAMA:レビュー 肝硬変の管理

JAMAより、肝硬変の管理について。

診断、マネジメントの流れのFigureがわかりやすい。

肝硬変は、なんとなく見逃していつの間にか進行して合併症で見つかる肝硬変が多いです。慢性肝疾患でフォローしているときには、適切に肝硬変のスクリーニングを行い、Fib-4、エラストグラフィー検査を行いましょう。

ちなみに、私は恥ずかしながらエラストグラフィー検査はしたことがありません。みなさん普通にやっているもんですか?

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Diagnosis and Management of Cirrhosis and Its Complications  A Review( JAMA. 2023;329(18):1589-1602. )

 

 

定義
慢性肝疾患に起因する肝組織の線維性変化

 

疫学

アメリカ)

疾患

有病率・発生率

死亡率

入院率

肝硬変

有病率:840-1058人/10万人

2020年:56989人

56.4-125.7件/十万件が肝硬変あり

30日再入院率:25.8%

肝性脳症

肝硬変全体:5年発生率40%

門脈圧亢進症を伴うChildA:1年発生率10%

門脈圧更新省を伴うChildB:1年発生率25%

不顕性肝性脳症:25-80%

生存期間中央値:

65歳以上0.95年、65歳未満2.5年

肝硬変入院のうち10.1%に肝細胞あり

腹水

1年発生率5.1%、3年発生率20%

生存期間中央値:1.08年

肝硬変入院のうち47.7%に腹水あり

静脈瘤出血

静脈瘤:1年ごとに9%発生

静脈瘤出血:3年以内に1,2-2.4%

静脈瘤出血後:6週間死亡率17.7%

 

肝細胞癌

B/C型肝炎関連の肝硬変:年間発症生率3.2-4.8%

NAFLD関連の肝硬変:年間発生率1.4-2.1%

アメリカで11,000人/年が死亡

肝硬変入院のうち3.1%にSBPあり

SBP

腹水を伴う肝硬変:年間発生率11%

生存期間中央値:11週

肝硬変入院のうち1.2%に肝腎症候群あり

アメリカ退役軍人省の対象患者66873人の2020-2021年の研究では

・肝硬変の原因はC型肝炎(24.0%)、アルコール関連(27.9%)、C型肝炎とアルコール関連(17.4%)、NAFLD関連(25.9%)、その他(3.7%)

・肝硬変診断時の平均年齢は59.5-62.4歳

近年は若年化が進んでいる

・35歳までの肝硬変の発生率は、32.6人/10万人(1945-1960年出生)⇨46.9人/10万人(1980年以降出生)

・2010年から2020年にかけて25-34歳の肝硬変死亡率は1.1から3.3人/10万人に増加 

多くの患者が重複した原因を持つ※C型肝炎は直接作用型抗ウイルス薬で治癒可能であり、新たに診断された肝硬変のほとんどは、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)(初発患者の61.8%)およびアルコール性肝障害(20.0%)が原因

 

病態生理

Impact of Portal Hypertension and Hepatic Insufficiency on Cirrhosis Pathophysiology

 

診断・マネジメントの流れ

Noninvasive Diagnosis and Risk Stratification of Patients at Risk for Cirrhosis

Step1:誰が肝硬変のスクリーニング評価を受けるべきか

①リスクファクターを持つ人

・肥満

・B/C型肝炎

2型糖尿病

・アルコール使用障害

・その他の慢性肝疾患

②特異度の高い(90%以上)身体所見を持つ人

・Terry's nail

爪甲の近位3分の2が白く見え、遠位3分の1が赤く見える
血清アルブミンの低下によるものと考えられている
腎不全、糖尿病、心不全の患者さんにも見られることがある

※Up to date:Cirrhosis in adults: Etiologies, clinical manifestations, and diagnosis
女性化乳房
メデューサの頭

※N Engl J Med 2005; 353:e19

・顔の毛細血管拡張

Figure 1. Spider Nevi Lesions on the Upper Chest

JAMA. 2012;307(8):832-842.

・手掌紅斑

Image: 肝硬変(手掌紅斑) - MSDマニュアル プロフェッショナル版

Image: 肝硬変(手掌紅斑) - MSDマニュアル プロフェッショナル版

・体毛減少
・精巣萎縮
・黄疸  など

 

Step2:Fib-4 indexをつける

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・NAFLDまたはアルコール関連肝疾患の患者が対象

・年齢、AST、ALT、血小板数を用いてリスクを層別化

・肝硬変の陰性的中率96%、陽性的中率63%、Fib-4 1.3未満でLR- 0.4

・FIB-4スコアが高い場合(NAFLD患者では1.3以上、65歳以上の患者では2.0以上)にStep3へ

 

Step3:エラストグラフィー検査を行う

・Fib-4Indexから連続して検査すると、肝硬変の事後確率が89%以上となる

・エラストグラフィーは、線維化の程度と相関する肝硬度測定(LSM:キロパスカル[kPa]で測定)

・振動制御過渡エラストグラフィー(VCTE)による15kPa以上のLSMが95.5%の特異度(62%の陽性反応的価値)で肝硬変と判定され、10kPa以上のLSMは74.9%の感度(88%の陰性的中率)

・磁気共鳴エラストグラフィーは、肥満度(体重(kg)÷身長(m2乗)で計算)が高い(40以上)患者においてVCTEより技術的失敗が少ない。しかし、コストとアクセスにより、磁気共鳴エラストグラフィーの普及は少ない。

・肝臓の炎症(ALT>120 IU/L)および心不全による中心静脈のうっ血も肝臓の硬さを増加させ、エラストグラフィーによる偽陽性を生じさせることがある

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Stage4:マネジメントを決定する

肝硬変らしくない場合

・基礎的な肝疾患を治療する。 原因となる肥満やアルコール使用障害に対処する。

 

肝硬変の臨床診断がついた場合

内視鏡検査で静脈瘤をスクリーニングするか、VCTEの結果が20kPa未満で血小板数が150 x 109/L以上の場合は延期する

静脈瘤が見つかったら、非選択的β遮断薬(例:カルベジロール)を開始する。
VCTEの結果が25kPa以上の場合、非選択的β遮断薬を考慮する。

・年2回の超音波検査とα-フェトプロテインによる肝臓癌のスクリーニング

・肝臓専門医に紹介する

⇨腹水、肝性脳症、静脈瘤出血、肝がんを発症した場合は、移植評価を依頼する

 

※肝生検の意義

肝生検は、肝硬変を診断するための基準であると考えられているが、非侵襲的な線維化評価法に取って代わられることが多くなってきている。生検は、非侵襲的な検査で結論が出ない、あるいは技術的に不十分な患者、あるいは基礎となる慢性肝疾患が明らかでない場合にのみ行う

 

診断

門脈圧亢進症の診断

・血小板減少:肝疾患患者における血小板減少(血小板数<110×109/L)は、肝硬変を強く示唆し、腹水および静脈瘤出血の患者のリスクと関連している。

・血小板減少+LSM: ヨーロッパとカナダの肝硬変患者 518 名を対象に、LSM と血小板数に基づいて CSPH を予測するノモグラムが作成された(LSMが25kPa以上で、CSPHの有病率は少なくとも66%、加えて血小板数が110×109/L以下では90%以上となる)。

・静脈瘤:静脈瘤がある=門脈圧亢進となる。肝硬変患者の静脈瘤のスクリーニングは、非代償性の場合は毎年、代償性の場合は2-3年ごと(患者が積極的にアルコールを飲んでいる場合、慢性肝疾患がコントロールされていない場合(未治療のB/C型肝炎、自己免疫性肝炎など)は2年)に行うことが推奨される。 しかし、ガイドラインでは、非侵襲的な検査でCSPHを除外できるため、内視鏡検査を回避できることも示唆されている(26 の研究からプールされた 7387 人の患者のうち、LSM が 20kPa 未満で血小板数が 150×109/L 以上の場合、高リスクの静脈瘤に対する負の尤度比は 0.09 となる)。

 

合併症の診断

・腹水:身体診察ではFlank dullness(感度/特異度:94%/29%)、 shifting dullness(感度/特異度:83%/56%、fluid wave(感度/特異度:50%/82%)。エコーやCTで診断。

・SBP:腹腔穿刺で好中球数が250/μL以上で診断。ただし、SBPの3分の1が発熱や痛みを伴わないため、肝硬変で腹水があるすべての入院患者に腹腔穿刺が推奨される。

・肝腎症候群:肝腎症候群は、大量の腹水がある患者で、 7 日以内に血清クレアチニンが50%または 0.3mg/dL以上増加し、 2 日間の補液に反応しないことで診断される。

・肝性脳症:West Heaven Criteriaに分類される:0は症状なし、1以下は不顕性で遂行機能障害睡眠障害、歩行障害などを呈する、2以上は顕性で羽ばたき振戦、見当識障害、傾眠、昏睡を呈する

Page 1

http://www.library.leicestershospitals.nhs.uk/SiteAssets/Documentation/Decompensated%20Liver%20Cirrhosis/West%20Haven%20Criteria/West%20Haven%20Criteria%20for%20Hepatic%20Encephalopathy.html

肝細胞癌:年2回の腹部超音波検査と血清α-フェトプロテインによるスクリーニングは、病因に関係なく肝硬変患者におけるHCCの早期発見のためにAmerican Association for the Study of Liver Diseasesで推奨されている。13367人の患者の観察研究のメタアナリシスで、スクリーニングなしと比較して、早期発見(58.8%vs27.0%)と治癒率の増加(58.2%vs34.0%)と関連していた。年単位でのスクリーニングとの比較はなし。

      超音波検査で1cmを超える腫瘤を認めるまたはα-フェトプロテインが上昇上昇(20ng/mL以上)していれば、追加検査が必要となる。造影CTで特異的な特徴(動脈相の造影効果と門脈相のwash out)を示す固形病変は、HCCと診断することができる。

 

予後

・代償性肝硬変患者の生存期間中央値は12年

・静脈瘤: 代償性肝硬変で静脈瘤が小さい場合年間出血リスクは6%、静脈瘤が大きく肝硬変が悪化傾向の場合年間出血リスクは42-76%。静脈瘤出血後の院内死亡率は、全体で約14.5%、代償性肝硬変の患者さんでは0%

・腹水:肝硬変に伴う腹水はの生存期間中央値は1.1年

・肝性脳症:顕性肝性脳症発症後の生存期間中央値は0.92年。不顕性肝性脳症は、肝性脳症がない肝硬変患者と比較すると、交通事故の1年リスクが高く(17%vs3%)、入院率(47%vs15%)や死亡率(18%vs3%)も高い

・予後予測スコア:MELD-Naスコア(Cre,T-Bil,PT-INR,Naを用いて12歳以上の急性肝炎、肝硬変および肝移植登録者における肝予備能の診断に用いる)

6-16:90日死亡率<2%

17-20:90日死亡率<3-4%

21-22:90日死亡率<7-10%

23-26:90日死亡率<14-15%

27-31:90日死亡率<27-32%

32-40:90日死亡率<65-66%

www.mdcalc.com

 

治療

肝硬変に付随する症状に対する治療

症状

1st line therapies

効果

有害事象

筋クランプ

急性期治療:けいれん発症時にピクルスジュースを一口飲む

予防:タウリン500-1000mg、1日2回

ピクルスジュース:80名の患者において、筋クランプの重症度を示すVASの減少が水道水と比較して2.3% vs 0.4%

タウリン:2週間でプラセボと比較して7回の筋クランプの減少

ピクルスジュース:なし

タウリン:なし

皮膚掻痒

保湿剤

コレスチラミン 1日4-16g

ナルトレキソン 1日50mg

コレスチラミン: 安全性を考慮すると第一選択薬

ナルトレキソン:VASで測定したそう痒症の重症度をベースラインから平均54%減少させたのに対し、プラセボでは8%減少

コレスチラミン:なし

ナルトレキソン:50%が嘔気を伴う倦怠感を3日間あり、62.5%が軽い腹痛あり

睡眠障害

睡眠衛生改善(環境改善、リラックス、カフェイン制限)

ヒドロキシジン25mg、1日1回

ヒドロキシジン:自己申告による睡眠の改善は40%、睡眠効率の改善は70%(プラセボではそれぞれ0%、16%の悪化)

ヒドロキシジン:6%に10日後の錯乱が増加

性機能障害

禁煙・禁酒

カウンセリング

PDE-5i(タダラフィル)10mg

禁酒:6ヶ月以上禁酒した男性60名において、アルコール使用中止は、自己申告による正常な性機能25%と関連

タダラフィルプラセボと比較して勃起機能改善は63% vs 30%

なし

肝硬変の合併症に対する治療

合併症

1st line therapies

効果

有害事象

肝性脳症

ラクツロース 10~20g 1日2~3回(軟便2~3回を目標に)

リファキシミン 550mg 1日2回

栄養:タンパク質1.25g/kg/日、夜間の間食250kcal以上

ラクツロース:無作為化試験のメタアナリシスで、プラセボと比較して死亡率減少(8.5%vs14%)、顕性肝性脳症の再発減少(25.5%vs46.8%)と関連

リファキシミン:二重盲検RCTで、ラクツロースによる肝性脳症既往のある患者299人において、リファキシミンは肝性脳症による入院をプラセボと比べて減少(13.6%vs22.6%)

栄養:不顕性肝性脳症120名を対象とした6ヶ月間のRCTで、1~1.5g/kg/日のタンパク質摂はプラセボに比べて不顕性肝性脳症の発生率は減少(10%vs21.7%)

ラクツロース:膨満感(46%vs15%)、吐き気(15%対2%)

リファキシミン:高コストのみ

高タンパク食:なし1

腹水

アルドステロン拮抗薬:スピロノラクトン 50~400mg

ループ利尿薬:フロセミド 40~160mg

100名の患者を対象とした無作為化試験で、アルドステロン拮抗薬とループ利尿薬の併用により、アルドステロン拮抗薬単独投与群の56%に比べ、76%の患者で腹水が消失した

腹腔穿刺で腹部症状は改善するが、腹水は再発する

アルドステロン拮抗薬とループ利尿薬の併用:高カリウム血症(4%)、腎障害(12%)

アルドステロン拮抗薬単独:高カリウム血症(18%)、腎障害(16%)

スピロノラクトン女性化乳房(率不明)

静脈瘤

静脈瘤性出血

出血予防:カルベジロール 12.5mg 1日1回(一次予防/二次予防に使用可能)、プロプラノロール 40mg 1日2回 (心拍数55回/分を目標に160mg 1日2回まで増量可能)

出血時:オクトレオチド・テルリプレシン・セフトリアキソン(1g/日 5日間)の静脈内投与、

静脈瘤のバンド結紮術または硬化療法

臨床的に重大な門脈圧更新省患者201名を対象とした二重盲検プラセボ対照試験において、カルベジロールまたはプロプラノロールによる一次予防は、3年間の脱落または死亡のリスクを減らした(16%vs27%)

出血時治療(内視鏡治療に加えて)

オクトレオチド:無作為化試験のメタアナリシスにおいて、プラセボと比較して5日後の止血率が向上(77%vs58%)

テルリプレシン:無作為化試験のメタアナリシスにおいて、5日後の止血率が向上(65%vs46%)

予防的抗生物質投与(内視鏡治療に加えて):無作為化試験のメタアナリシスにおいて、プラセボと比較して死亡率が低下18.5%vs22.2%

経頸静脈肝内門脈体循環シャントによる二次予防:急性静脈瘤出血患者63名を対象とした無作為化試験において、72時間以内の経頸静脈肝内門脈体循環シャントにより1年生存率が改善(86%vs61%)

カルベジロールまたはプロプラノロール:脱力感(23%対17%)

オクトレオチド:高血糖(23%対プラセボ13%)

テルリプレシン:指先の虚血と腹部のけいれんを伴うことがある

経頸静脈肝内門脈体循環シャント:なし

SBP

第3世代セファロスポリン 5日間

アルブミン(1.5g/kg)を1日目⇨1g/kgを2日目に投与

※院内SBPの場合にはメロペネムとダプトマイシン

アルブミン:126人の患者を対象としたRCTにおいて、抗生物質単独投与と比較して、3ヵ月後の死亡率を41%から22%に低下させ、腎障害の発生は33%vs6%

院内SBP:32人の患者を対象とした無作為化試験において、メロペネムとダプトマイシンはセフタジジムとの比較でSBP改善率を増加させたが(87%vs25%)、90日生存率は増加しなかった91。

なし

※ただし、アルブミン輸液は肺水腫のリスクを高める可能性がある(肝硬変の入院患者に対するアルブミンの試験で、プラセボと比較して4%vs1%)

肝腎症候群

テルリプレシン 0.85mg 6時間ごとに静脈内投与

ノルエピネフリン 0.5-3 mg/h 静脈内投与

プラセボ対照(1:2比)の無作為化試験において、テルリプレシンは腎機能より改善(39%vs18%)

テルリプレシンとノルエピネフリンの比較ランダム化試験において、クレアチニン<1.5mg/dLの達成率は39.1%vs43.4

テルリプレシン:呼吸不全による死亡(11% vs プラセボ 2%)

ノルエピネフリン:試なし

※ノルエピネフリンコホート研究で25%が頻脈性不整脈を経験し、10%が治療中止を必要とした

 

肝硬変の病因に対する治療

病因

リスクファクター

1st line therapy

効果

有害事象

アルコール性肝障害

アルコール使用障害

肥満

禁酒

カウンセリング

ナルトレキソンなどの薬物療法

観察研究のメタアナリシスでは、禁酒は1.5年後の死亡リスク低下と関連していた(HR, 0.51 [95% CI, 0.33-0.81])

なし

NAFLD

インスリン抵抗性

肥満

メタボリックシンドローム

減量

栄養士の紹介

医学的減量

門脈圧亢進症のない患者における肥満症手術

肝硬変患者を対象とした無作為化試験はなし

NAFLDと線維症?の患者1158人において、肥満手術は、10年後の肝硬変または脱落のリスクの減少に関連していた(9.6%vs2.3%)

有害事象の発生率は不明

ダイエット中の不要なタンパク質制限は、サルコペニアを悪化させ、肝性脳症のリスクを増加させる可能性がある。肥満手術は、代償性肝硬変の患者において、肝不全のリスク4.7%と関連している

C型肝炎

1990年以前の輸血

注射針や薬物器具の共有

まれに性行為による感染

直接作用型抗ウイルス薬の投与

観察的データソース:SVRは、SVR未達成と比較して、10年間の全死因死亡率の低下と関連(8.9%vs 6.0%),,HCCリスクの低下と関連(3.3vs13.2/1000 人年)

頭痛25%

B型肝炎

垂直感染

性的感染

注射針または薬物器具の共有

抗ウイルス療法

進行した線維症または肝硬変患者651名を対象としたラミブジンの無作為化(2:1)プラセボ対照試験:プラセボと比較して、治療によりHCCのリスクが低下した(3.9%vs7.4%)

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の観察研究:香港、韓国、カリフォルニア州の肝硬変患者において、無治療(291人)、抗ウイルス療法(797人)と比較して、HCC(9.8%vs14.9%)、脱落(1.1%vs13.1%)、死亡(1.1%vs13.1%)が減少

ラミブジンはプラセボと比較して咳が増加(14%vs7%)

テノホビルジソプロキシルフマル酸塩は、48週間投与後の骨密度低下(股関節で1.72%、脊椎で2.29%)と関連

B型肝炎HIVの重複感染患者において、テノホビル アラフェナミド投与群では144週以内に腎合併症により治療を中止したのは0%、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩投与群は3.6%

ヘモクロマトーシス

常染色体劣性遺伝、

HFE遺伝子のC282Y変異体2コピーの場合

フェリチン50-100μg/Lを目標とした瀉血

デンマークの患者を対象とした観察研究では、10年後の全生存率は、瀉血を受けた66名で70%、未治療の62名で20%

静脈穿刺部位出血及び感染症、貧血、失神(発生率不明)

PBC

女性やPBC患者の第一度親族に多い

ウルソデオキシコール酸13-15mg/kg/日

3つの無作為化試験における548名の患者のプール解析において、ウルソデオキシコール酸はプラセボと比較して移植不要の4年生存率を改善(17%vs24%)

なし

PSC

潰瘍性大腸炎

なし

なし

なし

自己免疫性肝炎

不明

プレドニン(20-40mg/日)とアザチオプリン(50-150mg/日)

の併用療法

3-4年のランダム化試験のメタアナリシスでは、併用療法(44名)による寛解率と総死亡率は43%vs39%と0%vs0%

メタアナリシスでは報告されていない

プレドニゾンは、体重増加、発疹、白内障感染症リスク、骨粗鬆症などの副作用と関連する。

アザチオプリンは、白血球減少、膵炎、非メラノーマ皮膚がん、リンパ腫、感染症リスク上昇と関連する。

 

肝硬変の自然史、合併症、修正可能リスク因子

 

まとめ

肝硬変の診断に肝生検は必要か?
⇨No
肝硬変は、Fib-4 indexなどの非侵襲的な検査とエラストグラフィーによる肝硬度測定を連続して行うことで正確に診断することができる。肝硬度測定は予後にも影響するので、例えば、食道静脈瘤のスクリーニングのために内視鏡検査が必要な患者を決定するためにも使用する。

 

肝硬変の原因として最も多いものは何か?
米国では、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、C型肝炎の感染が肝硬変の最も一般的。肝硬変の発症例の多くはNAFLDによるものだが、特に若年層ではアルコールに起因する肝硬変も増えてきている。

 

肝硬変の患者さんの生存率を向上させるためには、どうしたらよいか?
肝硬変患者の生存率は、基礎疾患である慢性肝疾患(アルコール使用障害、ウイルス性肝炎、NAFLDなど)をコントロールすることで向上する。さらに、年2回の超音波検査とα-フェトプロテインによる肝癌のスクリーニングは、癌が発見された場合の治癒率の向上と関連している。門脈圧亢進症を発症した場合、非選択的β遮断薬(特にカルベジロールやプロプラノロール)を使用することで、病状悪化や死亡率が低くなる。